妊婦の靴の選び方|滑りにくさ・ヒール・脱ぎ履きで選ぶポイント
結論から言うと、妊婦さんの靴は「滑りにくい」「ヒールが低く安定している」「かがまずに脱ぎ履きしやすい」「むくみにあわせて調整できる」の4つを満たすものが選びやすいです。この記事では、妊娠中の靴選びのポイントと、向いている靴の種類を紹介します。あわせて、時期・シーン別の選び方や、靴下の選び方も整理します。体の状態は人によって違います。気になることがあれば、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談しておくと安心です。
結論
滑りにくい靴底、低く安定したヒール、脱ぎ履きのしやすさ、調整できるフィット感の4つで選ぶのがおすすめです。スニーカーやスリッポン、フラットパンプスが候補になります。
妊娠中に靴を見直したい理由
妊娠中は、体の変化にあわせて足もとの事情も変わります。自治体の両親学級の資料や医療情報サイトでは、次のような点が挙げられています。
- 妊娠が進むと、足や足首がむくみやすくなるとされています(江別市保健センター、MSDマニュアル家庭版)
- お腹が大きくなると、足もとが見えにくくなります(松戸市 ママパパ学級テキスト)
- お腹が大きくなると、姿勢のバランスをとろうとして重心が移るとされています(同)
- 重心の位置が変わることで、転びやすくなるとも言われています(神奈川県の理学療法士会の資料)
お腹が大きくなると、かがんで靴を脱ぎ履きするのに手間取ることもあります。こうした変化を考えると、妊娠前と同じ基準で靴を選ぶより、安心して歩けるかを重視した選び方が向いています。どのくらい変化を感じるかは人によって違うため、見直す時期や内容は体調にあわせて決めて大丈夫です。
マタニティシューズとは
マタニティシューズは、妊婦さんが履きやすいように考えられた靴のことです。特別な決まりがあるわけではなく、メーカーによってつくりはさまざまです。多くは、滑りにくい靴底や低いヒール、脱ぎ履きのしやすさを打ち出しています。専用の靴でなくても、この記事で紹介するポイントを満たす靴なら、妊娠中の候補になります。
妊婦さんの靴選びで見たい5つのポイント
ここからは、靴を選ぶときに確かめたいポイントを5つ紹介します。
1. 滑りにくい靴底
まず見たいのが、靴底の滑りにくさです。濡れた床や駅の階段、雨の日の道路では、靴底によって滑りやすさが変わります。見分けるときは、靴底に凹凸(溝)がしっかりあるかを見てみてください。厚生労働省 秋田労働局の転倒防止のリーフレットでは、靴底の減りが大きい靴は滑りやすくなるとしています。同じリーフレットでは、床の材質によって合う靴底が変わるとも説明しています。手持ちの靴を使う場合は、靴底の凹凸がすり減っていないかも確かめておきたいところです。松戸市のママパパ学級テキストでも、妊娠中は滑りやすい底の靴を避けるよう案内しています。
2. ヒールは低く、安定したもの
妊娠中の靴は、ヒールが低めのものが選びやすいです。自治体の資料でも、かかとの低い靴を選び、ヒールの高い靴は避けるよう案内されています(江別市保健センター、松戸市)。高いヒールや細いヒールは、足もとがぐらつきやすくなります。ヒールがある靴を選ぶなら、低めで接地面の広い太めのヒールが安定しやすいと言われています。なお、松戸市のテキストは、平らな靴も歩きにくいとして3〜3.5cmくらいを目安に挙げています。歩きやすい高さは人によって違うため、試着で歩いて確かめるのがおすすめです。かかとまわりがしっかりしていて、歩いたときにかかとが左右にぶれにくいかも見ておきたい点です。
3. かがまずに脱ぎ履きしやすい
お腹が大きくなると、かがんで靴紐を結んだり、かかとを入れたりするのがつらくなりやすいです。そのため、立ったままでも脱ぎ履きしやすい靴が便利です。
- スリッポンなど、紐のない靴
- かかとを踏まずに足を入れられる、ハンズフリー(手を使わずに履ける)タイプの靴
- 面ファスナー(ベルトを貼り合わせて留めるもの)の靴
手を使わずに履ける靴については、ハンズフリーシューズの選び方で詳しく紹介しています。紐靴を履く場合も、柄の長い靴べらを使ったり、椅子に座ったりすると脱ぎ履きしやすくなります。
4. むくみにあわせて調整できる
妊娠中は、ホルモンの変化や、大きくなった子宮が脚の血流を圧迫することで、足がむくみやすくなるとされています(江別市保健センター、MSDマニュアル家庭版)。朝はちょうどよかった靴が、夕方にはきつく感じることもあります。そのため、その日の足の状態にあわせて締め具合を変えられる靴が向いています。
- 紐靴:紐をゆるめたり締めたりして、甲まわりを調整できます
- 面ファスナー:留める位置で、締め具合を変えられます
- 伸びやすい素材:ニットなどやわらかい素材の靴は、足あたりがやさしく感じられます
ただし、幅の広すぎる靴は足が靴の中で横に揺れ、安定しにくいとされています(福ナビ「自分に合った靴の選び方」)。きつすぎず、ゆるすぎない状態を保てるかがポイントです。
5. 軽く、クッション性のあるもの
靴が重いと、長く歩いたときに足の疲れを感じやすいという方もいます。手に持って軽く感じる靴や、靴底にクッション性のある靴が候補になります。ただし、靴底がやわらかすぎると、足もとが不安定に感じることがあります。試着で歩いて、軽さと安定感のバランスが自分に合うかを確かめます。
妊婦さんに向いている靴の種類
ポイントを満たしやすい靴の種類を紹介します。同じ種類でもつくりはさまざまなので、最後は試着で確かめるのがおすすめです。
スニーカー
スニーカーは、靴底の凹凸やクッション性を備えたものが多い靴です。紐で締め具合を調整できるため、むくみが気になる日にも履きやすいです。一方で、紐を結ぶためにかがむ必要があります。紐を結んだまま脱ぎ履きできるものや、ゴム紐のものを選ぶ方法もあります。
スリッポン・紐なしスニーカー
スリッポンは、紐や留め具がなく、足を入れるだけで履ける靴です。かがまずに履きやすいため、お腹が大きくなってからも使いやすい形です。ただし、甲まわりの締め具合を調整できません。ゆるいと脱げやすく、きついとむくんだときにつらくなるため、サイズ選びが大切です。
フラットパンプス・バレエシューズ
ヒールのないフラットパンプスやバレエシューズは、きれいめな服にも合わせやすい靴です。通勤や、少しきちんとした場面で選ぶ方もいます。靴底が薄いものや、つるつるした素材のものは滑りやすく感じることがあります。ヒールがまったくない靴は歩きにくいとする自治体の資料もあるため、試着で歩いて確かめると安心です。靴底のつくりと、かかとが脱げにくいかも見ておきたい点です。
ローファー・モカシン
ローファーは、紐のない革靴です。脱ぎ履きしやすく、オフィスにもなじみやすい形です。モカシンは、やわらかい革で足を包むようにつくられた靴です。どちらも、ヒールが低く、靴底に滑り止めのあるものを選ぶと履きやすくなります。
サンダル・ブーツは選び方に注意
松戸市のママパパ学級テキストでは、妊娠中はサンダルを避けるよう案内しています。履く場合は、かかとにストラップのあるものだと脱げにくくなります。かかとが固定されないミュールやつっかけタイプは、足もとが不安定になりやすいです。
ブーツは、冬や雪の日に心強い靴です。ただし、ロングブーツは履くときにかがむ必要があり、脱ぎ履きが大変になりやすいです。サイドファスナーのついたショートブーツなど、脱ぎ履きしやすいものを選ぶ方法もあります。
時期別の靴選び
靴を見直すタイミングに、決まりはありません。ここでは、時期ごとに意識したいことの目安を紹介します。体の変化には個人差があるため、自分の状態にあわせて取り入れるとよいでしょう。
妊娠初期:いまある靴を見直す
妊娠初期は見た目の変化が少なくても、つわりなどで体調がすぐれない日もあるとされています(松戸市 ママパパ学級テキスト)。まずは手持ちの靴の中から、ヒールが低く滑りにくいものを中心に履く方法があります。高いヒールの靴は、この時期から控える方もいます。
妊娠中期:歩きやすい靴を用意する
お腹が大きくなり始めると、足もとが見えにくくなってきます。この頃は、妊娠中に履く靴を新しく用意するタイミングのひとつです。通勤や買い物など、よく歩く場面にあわせて1足を選んでおくと、毎日の外出に使えます。
妊娠後期:脱ぎ履きのしやすさを優先する
妊娠後期は、お腹がさらに大きくなり、かがむ姿勢がつらくなりやすい時期です。妊娠後期にあたる時期は、足や足首がむくみやすいとされています(MSDマニュアル家庭版「妊娠後半にみられるむくみ」)。いつもの靴が入りにくくなったと感じたら、締め具合を調整できる靴に替える方法があります。この時期は、スリッポンやハンズフリーの靴など、立ったまま履ける靴が便利です。
産後も使えるかを考える
妊娠中に買う靴は、産後も使えるかを考えて選ぶ方もいます。滑りにくく脱ぎ履きしやすい靴は、赤ちゃんを抱っこしたり、ベビーカーを押したりする場面でも使いやすいです。手持ちの服に合わせやすい色や形を選んでおくと、長く履けます。
シーン別の靴選び
よくある場面ごとに、選び方のポイントをまとめました。
通勤・仕事
オフィスでは、フラットパンプスやローファーなど、きれいめな靴が合わせやすいです。職場によっては、スニーカーで通勤し、オフィスで履き替える方もいます。履き替える場合は、職場に置いておく靴も滑りにくく脱ぎ履きしやすいものにしておくと安心です。
雨・雪の日
雨の日は、駅の床やタイル、マンホールのふたなどが滑りやすくなります。靴底の溝がしっかりしていて、水がしみこみにくい素材の靴が向いています。雪の地域では、雪道用の靴底をうたう靴を選ぶ方もいます。天気の悪い日は、時間に余裕をもって移動すると、足もとを確かめながら歩けます。
健診・入院の準備
健診では、診察や計測で靴を脱ぐことがあります。脱ぎ履きしやすい靴だと、慌てずにすみます。
入院の準備では、病院によって指定される履き物が違います。たとえば福岡市立こども病院の産科の入院案内では、かかとのある靴を持ち物に挙げています。同じ案内では、転倒防止のためスリッパやクロックスタイプの使用を控えるよう求めています。一方で、スリッパを持ち物に挙げている病院もあります。通っている産院の入院案内を確かめておきましょう。
結婚式・式典
結婚式やお子さんの式典では、ヒールのあるパンプスを履く場面もあります。妊娠中は、ヒールの低いパンプスやフラットパンプスが選びやすいです。会場まではスニーカーで移動し、会場で履き替える方法もあります。入園式・卒園式などの靴の選び方は、卒業式・入学式のママの靴で詳しく紹介しています。
試着とサイズ選びのコツ
妊娠中に靴を買うときは、試着で次の点を確かめるのがおすすめです。
- 足がむくみがちな夕方ごろに試着する
- 両足とも履いて、しばらく歩いてみる
- ふだん合わせる靴下を履いて試す
- 指の付け根の幅がきつくないか確かめる
- 歩いたときに、かかとが浮いたり脱げたりしないか確かめる
- 座ったり立ったりして、脱ぎ履きのしやすさを確かめる
東京都の福祉情報サイト「福ナビ」の靴の選び方でも、両足に履いて歩いて確かめること、靴選びは夕方にすることを勧めています。また、妊娠の前後で足の長さが伸び、土踏まずのアーチが低くなったとする米国の研究報告もあります。米国の医学誌 American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation(2013年、Segal ほか)に掲載されたものです。以前と同じサイズにこだわらず、いまの足に合うかどうかで選ぶと失敗しにくくなります。お店で足の長さと幅を測ってもらうのもひとつの方法です。
妊婦さんの靴下の選び方と履き方
靴とあわせて、靴下の選び方も見直しておきたいところです。
靴下の選び方
- 口ゴム(足首やふくらはぎを締める部分)がきつすぎないもの
- 靴の中で滑りにくく、足になじむ厚さのもの
- 室内で履くなら、足裏に滑り止めのついたもの
MSDマニュアル家庭版では、妊娠中のむくみについて、足首やふくらはぎを締めつける靴下を避けるよう勧めています。着圧をうたう靴下もありますが、妊娠中に使うかどうかは体の状態によって考え方が変わります。使いたい場合は、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談してから決めると安心です。
靴下を履くときの工夫
お腹が大きくなると、靴下を履くのも大変になりやすいです。椅子やベッドに座り、片足ずつ引き寄せて履くと、かがむ姿勢を減らせます。靴下を履くための補助具(ソックスエイド)を使う方もいます。無理な姿勢で履こうとせず、家族に手伝ってもらう方法もあります。
よくある失敗・注意点
妊娠中の靴選びで、起こりがちな失敗をまとめました。
- 妊娠前に履いていたヒールの靴を、そのまま履き続けてしまう
- 靴底がすり減った靴を履いていて、雨の日に滑りやすくなる
- 紐をきつく結んだままにして、夕方に足が窮屈になる
- ゆとりを求めて大きすぎる靴を選び、かえって歩きにくくなる
- 新しい靴をいきなり長い距離で履き、靴が足に当たって痛くなる
新しい靴は、近所への外出などで少しずつ慣らしておくと安心です。松戸市のママパパ学級テキストでも、ふだんから履き慣れた靴を履くよう案内しています。
妊娠中のむくみの多くは心配のないものですが、急にむくみが出たときは注意が必要とされています(江別市保健センター)。足のむくみが急にひどくなったときや、顔や手もむくむときは、靴の工夫だけで様子を見ず、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談してください。
よくある質問
妊婦さん用の靴はいつから用意するとよいですか?
決まった時期はありません。お腹が大きくなる前でも、いまの靴で滑りやすさやきつさを感じたら、見直すきっかけになります。お腹が大きくなり始める妊娠中期ごろに、新しく用意する方もいます。
妊娠中にヒールの靴を履いてもいいですか?
ヒールの高い靴や細いヒールの靴は、足もとがぐらつきやすくなります。式典などで履く場合は、低めで太いヒールを選び、会場で履き替えるなどの工夫があります。体調によって考え方が変わるため、気になる場合はかかりつけの産婦人科医や助産師に相談すると安心です。
妊娠後期にいつもの靴が入らなくなったらどうすればいいですか?
妊娠後期に、いつもの靴がきつく感じる方もいます。紐や面ファスナーで締め具合を調整できる靴や、足に合うサイズの靴に替える方法があります。急なむくみや体調の変化があるときは、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談しておきましょう。
マタニティシューズは産後も使えますか?
滑りにくく脱ぎ履きしやすい靴なら、赤ちゃんを抱っこして歩く産後にも使えます。服に合わせやすい色や形を選ぶと、産後も長く履けます。
まとめ
妊婦さんの靴は、滑りにくい靴底で、低く安定したヒールのものが選びやすいです。かがまずに脱ぎ履きできるか、むくみにあわせて締め具合を調整できるかも確かめておきたいポイントです。スニーカーやスリッポン、フラットパンプスを中心に、試着で歩きやすさを確かめて選ぶのがおすすめです。体の変化には個人差があるため、気になることはかかりつけの産婦人科医や助産師に相談しながら、自分に合う1足を選びましょう。
立ったまま履ける靴は、ハンズフリーシューズの選び方で詳しく紹介しています。お子さんの入園式・卒園式に出る場合は、卒業式・入学式のママの靴も参考になります。