歩きやすいパンプスの選び方|痛くなりにくい7つの基準と試着のコツ
結論から言うと、歩きやすく痛くなりにくいパンプスは、足の長さと幅に合い、低めの太いヒールで足を支えられるつくりのものです。「歩きやすい」とうたうパンプスはたくさんあり、何を基準に選べばよいか迷う方も多いと思います。この記事では、通勤や式典、就活などでパンプスを履く方に向けて、選ぶときの7つの基準を整理します。あわせて、試着で確かめたいことと、買ったあとにできる工夫も紹介します。
結論
サイズと足幅が合っていることが、歩きやすさの土台です。そのうえで、低めで太いヒールと、かかとや甲で足を支えるつくりを選ぶと、長く歩いても負担を感じにくくなります。
パンプスで足が痛くなりやすい理由
選ぶ基準を知る前に、まずは痛くなる仕組みを押さえておきましょう。パンプスの多くは、ひもやベルトで足を固定しないつくりです。甲が大きく開いているため、足と靴が離れやすいと言われています。ヒールが高い靴や甲のベルトがない靴は、歩くうちに足が前へずれやすいとされています。そのため、次のようなことが起こりやすくなります。
足が前に滑る
ヒールがあると、体重が足の前のほうにかかりやすくなると言われています。足が靴の中で前に滑ると、つま先が靴の先に押しつけられます。これが、指先や指の付け根がつらくなる原因の1つと言われています。
かかとが浮く・脱げる
歩くたびにかかとが浮くと、靴が脱げないよう指で踏ん張りがちです。この踏ん張りが続くと、足の負担を感じやすくなります。かかとが靴とこすれて、靴ずれのもとにもなります。脱げやすさへの対策は、パンプスのかかとが脱げる原因と対策で詳しく紹介しています。
つま先や指の付け根が圧迫される
靴の幅が足より狭いと、指の付け根が横から締めつけられます。つま先が細い形のパンプスでは、指先も窮屈になりがちです。反対に、幅が広すぎても足が靴の中で横にぶれて、安定しにくくなります。
歩きやすいパンプスを選ぶ7つの基準
ここからは、歩きやすく痛くなりにくいパンプスを選ぶ基準を7つ紹介します。上にあるものほど、優先して確かめたい基準です。各部の名前は、下の図のとおりです。
1. サイズ:長さだけでなく足幅も合わせる
パンプス選びでいちばん大切なのは、サイズが合っていることです。靴のサイズは、足の長さ(足長)だけでなく、足の幅(ワイズ)も見ます。日本の靴のサイズは、JIS(日本産業規格)で決められた足長と足囲(足まわりの長さ)で表します。ワイズは「E」「2E」「3E」などの記号で表され、Eの数が多いほど幅が広いつくりです。サイズの数字は靴の長さではなく、合う足の長さを表しています。たとえば足長が23.4cmなら、23.5cmの靴が目安です(出典:福祉情報サイト「福ナビ」の「自分に合った靴の選び方」)。
目安は、履いたときに、つま先と一番長い指の間に少しゆとりのある状態です。同じ資料によると、日本の靴は、足長に1〜1.5cmほどのつま先のゆとり(捨て寸)を足した長さがめやすです。ただし、大きすぎると前滑りやかかとの浮きにつながります。木型(靴をつくるための型)はメーカーごとに違うため、同じ数字でも履き心地は変わります。「きついから大きいサイズに」と長さだけで調整せず、幅の合うものを探すのがおすすめです。
足の幅が広めの方や、甲が高めの方は、幅広のつくりや甲の部分がやわらかいパンプスも選択肢になります。
2. つま先の形:指の並びに合うものを選ぶ
つま先の形には、主に次の4つがあります。
- ラウンドトゥ:丸い形
- スクエアトゥ:先が四角い形
- ポインテッドトゥ:先がとがった形
- アーモンドトゥ:丸みのある細めの形
- オブリークトゥ:親指側が長く、小指側に向かって斜めになった形
足の指の並び方は人によって違い、次の3つのタイプに分けて考える方法があります。合うつま先の形は、靴メーカーの千趣会が足型別の靴を発表したときの説明(2018年)を参考にまとめました。
- 親指がいちばん長いタイプ(エジプト型):オブリークトゥやラウンドトゥが合いやすい
- 人さし指が親指より長いタイプ(ギリシャ型):先端が中央にあるポインテッドトゥなどが合いやすい
- 親指から中指までの長さがそろっているタイプ(スクエア型):スクエアトゥやオブリークトゥが合いやすい
ただし、先が細い形ほど、指先の空間は狭くなります。歩きやすさを重視するなら、自分の指の並びに合い、指先にゆとりがある形から選ぶとよいでしょう。
3. ヒールの高さ:低めから選ぶ
ヒールが高いほど、体重が足の前のほうに集まりやすいと言われています。ヒールの高さが3cm・5cm・7cmのパンプスで歩き方を比べた研究があります。ヒールが高いほど、すねやふくらはぎの筋肉の活動が大きくなり、体のふらつきも増える傾向が見られました。この研究では、比べた中では3cmが歩くのに適した高さとされています。出典は、薩本弥生ほか「ビジネスパンプス着用時における歩行動作へのヒールの高さ,年齢の影響」(デサントスポーツ科学 Vol.40)です。少人数での研究ですが、長く歩く日は低めのヒールを選ぶと安心です。
ヒールに慣れていない方は、まず低めのものから試すのがおすすめです。一方で、まったくヒールのない靴が合わないと感じる方もいます。高さは、普段履いている靴との差も考えて選びます。
4. ヒールの形:太く、かかとの真下にあるもの
同じ高さでも、ヒールの太さによって安定感が変わります。接地面の広い太めのヒール(チャンキーヒール)は、ぐらつきにくいと言われています。細いピンヒールは、地面との接点が小さく、歩くと不安定になりがちです。靴底の幅が狭い靴は、バランスをくずしたときに足をひねりやすいとも言われています。
ヒールの位置も見ておきたいポイントです。ヒールがかかとの中心の真下にあると、体重を支えやすいと言われています。試着では、かかとがヒールの上にしっかり乗り、左右にぐらつかないかを確かめておきたいところです。
5. 履き口:かかとが浮かず、当たらない
履き口は、足を入れる口の部分です。かかとまわりが足に沿っていると、歩いても脱げにくくなります。反対に、かかとのカーブが足に食い込んだり、すき間があきすぎたりすると、靴ずれのもとになります。
試着では、歩いたときにかかとが浮かないか、縁が当たらないかを確かめます。かかと部分の内側に、すべりにくい素材やクッションがついたパンプスもあります。
6. 支えるつくり:ストラップや甲の深さ
パンプスで足を支えるには、ストラップや甲の深さも手がかりになります。
- ストラップつき:甲や足首のベルトで足を固定するため、前滑りや脱げを抑えやすい
- 甲が深いつくり:甲を覆う部分が広く、足と靴が一体になりやすい
- 浅いつくり:見た目は軽やかな反面、足と靴が離れやすく、脱げやすい
たくさん歩く日には、ストラップつきや甲が深めのものが向いています。
7. 素材と靴底:やわらかい素材とクッション、すべりにくい底
アッパー(甲を覆う部分)の素材がやわらかいと、足の形になじみやすくなります。やわらかい革や伸びのある素材は、指の付け根が当たりにくいと感じる方もいます。
靴底やインソールも確かめたいポイントです。クッション性のあるインソールは、着地の衝撃をやわらげるつくりです。指の付け根のあたりで靴底がほどよく曲がるものは、歩くときの足の動きに沿いやすいとされています。雨の日や駅の床では、すべりにくい靴底だと安心して歩けます。
歩きやすさで見るパンプスの種類
パンプスの種類ごとに、歩きやすさの特徴をまとめました。
| 種類 | 特徴 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| ローヒールパンプス | ヒールが低く、体重が前にかかりにくい | 細いヒールだとぐらつきやすい |
| チャンキーヒールパンプス | 太いヒールで安定しやすい | 高さがあるものは前滑りしやすい |
| ウェッジソールパンプス | かかとからつま先まで底がつながり、接地面が広い | 底が硬いと曲がりにくく、歩きにくいことも |
| ストラップパンプス | ベルトで足を固定し、脱げにくい | 脱ぎ履きに少し手間がかかる |
| フラットパンプス(バレエシューズ) | ヒールがなく、ぐらつきにくい | 底が薄いと着地の衝撃を感じやすい |
ローファーのように甲が深い靴も、パンプスより脱げにくく歩きやすいと感じる方がいます。服装や場面に合わせて、種類を選び分けるのもひとつの方法です。
シーン別:歩きやすさとの折り合いのつけ方
パンプスを履く場面によって、優先したいことは少しずつ変わります。
通勤・立ち仕事
毎日長く履くなら、歩きやすさを最優先に選ぶのがおすすめです。低めで太いヒールに、クッション性のあるインソールを組み合わせたものが候補になります。通勤は歩きやすい靴、職場ではパンプスと履き替える方法もあります。
式典・冠婚葬祭
式典では、飾りの少ないプレーンなパンプスが基本とされています。マナーに合う形の中から、太めで低めのヒールを選ぶと歩きやすくなります。移動が長い日は、会場の外では歩きやすい靴に履き替え、パンプスは会場で履く方法もあります。卒業式・入学式の靴の選び方は、卒業式・入学式のママの靴で詳しく紹介しています。
就活・リクルート
就活では、黒のプレーンパンプスを選ぶ方が多いようです。説明会や面接で移動が続くため、ヒールは低めで、ストラップつきのものを選ぶ方もいます。長く歩く日に備えて、本番の前に何度か履いておくと安心です。
試着で確かめたいこと
歩きやすいかどうかは、履いて歩いてみないとわかりにくいものです。試着では、次の順番で確かめるのがおすすめです。
夕方ごろに試着する
足は朝より夕方にむくみやすいため、夕方に靴を合わせることがすすめられています(出典:伊勢市健康課「自分の足にあった靴を選びましょう!」、福ナビ)。足の体積は、日常生活の中でも4〜8%ほど変わるという報告もあります(東京都立皮革技術センター台東支所「靴のフィッティング問題について(1)」)。朝に合わせると、夕方にきつく感じることがあります。普段パンプスに合わせるストッキングや靴下を履いて試すと、実際に近い状態で確かめられます。
両足とも履いて立つ
左右の足の大きさは、少し違うことがあります。体重をかけたときの足の広がり方も左右で違うため、両足同時に試着して決めるのがよいとされています。片足だけでなく両足とも履き、まっすぐ立って体重をかけます。
つま先と幅にゆとりがあるか確かめる
指先が靴の先に当たっていないか、指を少し動かせるかを見ます。指の付け根が横から締めつけられていないかも確かめます。
つま先立ちをしてみる
つま先立ちをして、かかとがパカッと浮かないかを見ます。かかとが大きく離れるなら、歩いたときに脱げやすいサインです。
店内を歩いて、ぐらつきや当たりを確かめる
少し長めに店内を歩き、ぐらつかないか、かかとや指が当たらないかを見ます。やわらかいマットの上だけでなく、硬い床の上も歩けると安心です。
通販で買う場合は、長さに加えて足幅や甲の高さの表記を確かめます。交換や返品の条件も、あわせて見ておきます。
買ったあとにできる工夫
選び方に気をつけても、履いてみて気になる点が出ることはあります。小さな違和感なら、次のような工夫で歩きやすくなることもあります。
少しずつ慣らす
新しいパンプスは、素材が硬く、足になじんでいないことがあります。既製の靴は足にぴったり合わせて作られていないため、履き慣らしが欠かせないとも言われています。いきなり長時間履かず、家の中や近所への外出で何度か履いておくのがおすすめです。
かかとが脱げるなら
かかとの内側に貼るパッドで、隙間を埋める方法があります。ストラップを後からつけるアイテムもあります。詳しくは、パンプスのかかとが脱げる原因と対策で紹介しています。
前に滑るならパッドやインソール
足が前に滑るときは、つま先側に入れるパッドや、靴の中で足を支えるインソールを使う方法があります。土踏まずのあたりを支えるタイプは、足が前に動きにくくなると感じる方もいます。ただし、入れすぎると靴の中が窮屈になります。指先がきつくならない範囲で調整するのがおすすめです。
靴ずれしやすいなら
靴ずれしやすい場所がわかっていれば、先に絆創膏や保護パッドを貼っておくと安心です。靴ずれしにくいパンプスの選び方と対策は、靴ずれしにくいパンプスの選び方で詳しく紹介しています。
歩き方も見直す
一般に、背すじを伸ばし、かかとから着地して、親指側で地面をけるように歩くのがよい歩き方とされています(出典:福ナビ)。ヒールのある靴でこの歩き方がしにくいときは、ヒールの高さや形が合っているかも見直したいところです。
よくある失敗・注意点
パンプス選びで起こりがちな失敗をまとめました。
- きつさを感じて、長さだけ大きいサイズを選び、前滑りやかかとの浮きが起こる
- 「歩きやすい」という表示だけで選び、足幅やつま先の形が合っていない
- 朝や短い試着で決めてしまい、夕方や長く歩いたときにきつくなる
- 新しいパンプスを大事な日に初めて履き、靴ずれしてしまう
- 痛みをがまんして同じ靴を履き続ける
違和感がある靴は、がまんして履き続けず、選び直すことも考えたいところです。
よくある質問
歩きやすいパンプスのヒールは何cmくらいですか?
一般に、低めのヒールが歩きやすいと言われています。合う高さは普段履いている靴によっても変わります。高さだけでなく、ヒールの太さや、かかとの真下で体重を支えられる位置にあるかもあわせて見るのがおすすめです。
ぺたんこ(フラット)のパンプスなら歩きやすいですか?
ヒールがない分ぐらつきにくい一方で、靴底が薄いと着地の衝撃を感じやすいことがあります。クッション性のある底やインソールのものを選ぶと安心です。
通販でパンプスを買っても大丈夫ですか?
長さに加えて足幅や甲の高さの表記を確かめ、交換・返品の条件も見ておくと安心です。届いたら室内で試し履きをして、つま先やかかとの当たりを確かめる方法もあります。
手持ちのパンプスが合わないときはどうすればいいですか?
かかとパッドやつま先パッド、インソールで隙間を調整する方法があります。痛みが続く場合は無理に履き続けず、サイズや形が合う靴を選び直すのがおすすめです。
パンプスの悩み別の記事
パンプスの悩みごとの対策は、次の記事で詳しく紹介しています。
- かかとが脱げる:パンプスのかかとが脱げる原因と対策
- 靴ずれしやすい:靴ずれしにくいパンプスの選び方
式典で履くパンプスを探している方は、卒業式・入学式のママの靴もあわせて参考になります。
まとめ
歩きやすく痛くなりにくいパンプスは、サイズと足幅が合っていることが土台です。そのうえで、つま先の形、低めで太いヒール、かかとや甲で足を支えるつくりを見て選びます。試着は夕方ごろに両足で行い、つま先立ちや店内の歩行で確かめると安心です。買ったあとで気になる点が出たら、パッドやインソール、慣らし履きで調整する方法もあります。
かかとが脱げる、靴ずれしやすいといった悩みへの対策は、パンプスのかかとが脱げる原因と対策や靴ずれしにくいパンプスの選び方で詳しく紹介しています。