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お手入れ

スエード靴の手入れ方法|ブラシ・汚れ別の落とし方と洗い方

更新日 公開日 文・足もとマガジン編集部

ベージュのスエードのチャッカブーツを、ブラシで毛並みを整えている手もと

結論から言うと、スエード靴の手入れは「ブラシで毛並みを整えること」と「防水スプレーで汚れや水から守ること」の2つが基本です。スエードは表面が毛羽立った革なので、つるつるした革靴とは手入れの道具も方法も違います。この記事では、スエードの靴やスニーカーをお持ちの方に向けて、ふだんの手入れと、汚れ別の落とし方を整理します。汚れがひどいときの洗い方(丸洗い)と、洗う前に確かめたいことも紹介します。手順は、コロンブスとM.モゥブレィの公開しているお手入れ方法をもとにしています。

結論

ふだんはブラシでホコリを落として毛並みを整え、ときどき防水スプレーをかけるだけで十分です。スエードに靴クリームは使いません。汚れは、消しゴムタイプやスプレータイプの起毛革専用の道具で落とします。

スエードとは?ヌバック・ベロアとの違い

スエードは、革の表面を細かく毛羽立たせた「起毛革」の一種です。起毛革には、スエードのほかにヌバックやベロアがあります。日本の皮革産業の業界団体(JLIA)が公開する「皮革用語辞典」をもとに、違いを整理すると次のとおりです。

種類 起毛させる面 毛羽の特徴 主な原料
スエード 革の裏側(肉面) 繊細で短く、均質 子牛や、ブタ・ヒツジ・ヤギなど小動物の皮
ヌバック 革の表側(銀面) 非常に短く、ビロードのよう 辞典に記載なし
ベロア 革の裏側(肉面) スエードよりやや長い 成牛革など大判の革

出典:JLIA(日本の皮革産業の業界団体)「皮革用語辞典」(スエード、ヌバック、ベロア、起毛革)

どれも表面が毛羽立っている点は同じで、手入れの方法もほぼ共通です。コロンブスやM.モゥブレィも、スエードとヌバックを同じ「起毛革」の手入れとして案内しています。この記事の手順は、ヌバックやベロアの靴にもそのまま使えます。

表面がなめらかな革との違い

つるつるした革(スムースレザー)の靴は、クリームで栄養とツヤを与えるのが手入れの中心です。一方、起毛革に靴クリームを塗ると、毛が寝て固まってしまいます。M.モゥブレィも、起毛革は毛の状態のため靴クリームは使えないと説明しています。スムースレザーの手入れは、革靴の手入れ方法で紹介しています。

スエード靴の手入れに必要な道具

起毛革用の道具は、スムースレザー用とは別に用意します。まずはブラシと防水スプレーがあれば、ふだんの手入れは始められます。

道具 用途 必要度
スエード用ブラシ(ゴム・真ちゅう・ナイロンなど) ホコリを落とし、寝た毛を起こす 最初にそろえたい
防水スプレー(起毛革に使えるもの) 水や汚れから守る 最初にそろえたい
消しゴムタイプのクリーナー 部分的な汚れ・黒ずみを落とす あると便利
スプレー(泡)タイプのクリーナー 広い範囲の汚れを落とす あると便利
栄養スプレー(無色) 起毛革に栄養を与える あると便利
補色スプレー・補色リキッド 色あせた部分の色を補う 色あせが気になったら
シューツリー 形を整え、シワを伸ばす あると便利

ブラシの種類と使い分け

スエード用のブラシには、いくつか種類があります。毛の硬さや素材によって、得意なことが違います。

ブラシ 向いていること 使うときの注意
柔らかい毛のブラシ(馬毛など) ふだんのホコリ落とし 毎日の手入れ向き
ゴム(クレープ)ブラシ ホコリ落とし、寝た毛を起こす 比較的やさしく使える
真ちゅう・ワイヤーブラシ しつこい汚れ、強く寝た毛を起こす 革を傷めやすいので軽い力で
小さなブラシ 縫い目やすき間 歯ブラシで代用する方もいます

ワイヤーブラシは毛をおこす力が強い分、使いすぎると革を傷めやすいと言われています。まずはゴムブラシなどやさしいもので試し、足りなければ硬いブラシに替えるのがおすすめです。

ふだんの手入れ:ブラッシング

スエードの手入れの中心はブラッシングです。履いたあとにホコリを落としておくと、汚れが毛の奥に入り込みにくくなります。

  1. 靴紐を外し、シューツリーを入れる

    M.モゥブレィは、手入れの前に靴紐を外し、シューツリーで履きジワを伸ばすよう案内しています。シワが伸びると、シワの間の汚れも落としやすくなります。

  2. 毛並みに逆らってブラシをかけ、ホコリをかき出す

    毛の奥に入ったホコリを、かき出すようにブラシをかけます。縫い目やすき間は、小さなブラシを使うと届きやすくなります。

  3. 毛並みに沿ってブラシをかけ、整える

    最後に、毛の流れに沿って一方向にブラシをかけて整えます。強くこすらず、軽い力でかけるのがポイントです。

1. 逆らってかく2. 沿って整える

毛並みの向きは、靴によって違います。伊勢丹メンズ館の解説では、いろいろな方向にブラシをかけてみて、スエード全体が白っぽくならない方向をつかむのがコツとしています。

防水スプレーと栄養スプレー

スエードは水を吸いやすく、水ジミができやすい素材です。防水スプレーをかけておくと、水や汚れをはじきやすくなります。

  1. ブラッシングでホコリを落とす

    コロンブスは、ブラシで表面の汚れを落としてからスプレーするよう案内しています。

  2. 屋外で、靴から離して全体にかける

    表面が軽く湿る程度に、ムラなくかけます。一度にたくさんかけるより、薄く重ねるほうがよいとされています。

  3. しっかり乾かしてから履く

    乾く前に雨の中へ出ると、十分に水をはじきません。乾燥時間は製品の説明に従います。

スプレーの距離や乾燥時間は、製品によって案内が違います。

製品・情報源 距離 乾燥時間 頻度の目安
コロンブス「アメダス」 記載なし(靴は片足約5秒) 15分以上 毎日履く靴は1〜2週間に1回
コロンブス「アメダスネオ」(ノンガス) 約20cm 約半日〜1日程度 記載なし
M.モゥブレィ(スエード用スプレー) 缶1本を横に倒したくらい 最低30分ほど 記載なし

出典:各社の製品ページ・公式ブログ。距離や時間は製品ごとに違うため、使う製品の説明書きを確認してください。

コロンブスは、アメダスを屋外で使うよう案内しています。エナメルや毛皮、ビニール、ゴム、爬虫類などの特殊な革には使えないとされています。スエードとほかの素材を組み合わせた靴では、使える素材かも確かめておくと安心です。

栄養スプレーで乾燥を防ぐ

スエードも天然の革なので、栄養が必要です。M.モゥブレィは、防水スプレーだけでは乾燥するため、起毛革用の栄養スプレーで保革するよう案内しています。両方使うときは、栄養スプレーのあとに防水スプレーをかける順番です。コロンブスも、無色の栄養スプレーで起毛革に栄養を与える手順を紹介しています。

新品をおろす前に

新品のスエード靴は、履きおろす前に防水スプレーをかけておくのがおすすめです。最初から汚れや水をはじきやすくしておくと、そのあとの手入れが楽になります。なお、M.モゥブレィのスエードシャンプーは、新品の靴には使わないよう注意書きがあります。

汚れ別の落とし方

スエードの汚れは、種類によって落とし方が違います。まずは早見表で、自分の靴の汚れに合う方法を確認してください。

汚れ・トラブル まず試すこと 落ちないとき
ホコリ・軽い汚れ ブラッシング ゴムブラシ
部分的な汚れ・黒ずみ 消しゴムタイプのクリーナー スプレータイプのクリーナー
泥 よく乾かしてからブラシ クリーナー
油・皮脂 粉(コーンスターチなど)で吸わせる 専門店に相談
雨ジミ・白い粉(塩) 専用シャンプーなどで全体を洗う 専門店に相談
テカリ・毛が寝た ゴムブラシで毛を起こす ワイヤーブラシ
色あせ 補色スプレー・リキッド 専門店に相談
カビ 屋外で払い落とし、カビ用の除去剤 専門店に相談

どの方法も、初めて使う道具や薬剤は、かかとの内側など目立たない場所で試してから使います。

部分的な汚れ・黒ずみ

つま先やかかとの黒ずみ、こすれた跡には、起毛革用の消しゴムタイプのクリーナーが便利です。汚れた部分を軽くこすり、出た削りかすはブラシで払います。最後に毛並みを整えるようにブラシをかけます。落ちにくいときは、スプレー(泡)タイプのクリーナーを使います。M.モゥブレィは、汚れの周辺にスプレーし、クロスで拭き取る方法を紹介しています。

泥汚れ

泥は、濡れているうちにこすると毛の奥に入り込みやすくなります。完全に乾いてから、ブラシで払い落とすのが基本です。残った汚れは、起毛革用のクリーナーで落とします。

油汚れ

油や皮脂の汚れは、スエードでも落としにくい汚れです。CHARLES & KEITH の公式ガイドでは、コーンスターチや重曹をのせて一晩置き、ブラシで払う方法を紹介しています。油が吸われなくなるまで、これをくり返します。重曹は、白い粉が残りやすいと注意している記事もあります。広い範囲や、時間がたった油ジミは、無理をせず靴のクリーニング店に相談するのがおすすめです。

雨ジミ・白い粉(塩)

雨に濡れたあとの輪じみや、乾いて浮き出た白い粉(塩分)は、ブラシやクリーナーだけでは落ちにくい汚れです。M.モゥブレィは、こうしたときにスエードシャンプーで靴全体を洗う方法を案内しています。手順は次の「スエード靴の洗い方」を参考にしてください。

テカリ・毛が寝た

よく当たる部分の毛が寝て、表面がつるっと光って見えることがあります。これは毛が倒れて固まった状態なので、毛を起こすとテカリは目立ちにくくなります。ゴムブラシで毛を起こし、足りなければワイヤーブラシで軽くブラッシングします。毛が切れていたり、革まで傷が入っていたりする場合は、元どおりにするのは難しいと言われています。

色あせ(補色)

日焼けやこすれで色があせてきたら、起毛革用の補色スプレーや補色リキッドで色を補います。

  1. ブラッシングでホコリを落とす

    表面の汚れを落としてから補色します。

  2. 目立たない場所で色を確かめる

    かかとなど目立たない場所で試し、色が合うか確かめます。靴の中に紙などを詰めておくと、内側に色がつきにくくなります。

  3. 色あせた部分を中心に、全体へ塗る

    M.モゥブレィは、色あせた部分を中心に、全体にまんべんなく塗るよう案内しています。

  4. 完全に乾いてから、ブラシで毛を起こす

    乾くと毛が寝て固まりやすいため、ブラシで毛を起こして整えます。

色選びに迷う場合や、ブランドの靴で失敗したくない場合は、靴の修理店やクリーニング店に任せる方法もあります。

スエード靴の洗い方(丸洗い)

雨ジミや汗じみ、全体の黒ずみが気になるときは、起毛革用のシャンプーで洗う方法があります。ただし、水洗いは色落ちや風合いの変化のリスクもある手入れです。クリーニング業者の中には、自宅での洗浄をすすめていないところもあります。まずはブラッシングやクリーナーで落とせないかを試し、丸洗いは最後の手段と考えるのがおすすめです。

洗う前に確かめたいこと

次のどれかに当てはまる場合は、自分で洗わず、専門店に相談するほうが安心です。

  • 新品の靴(M.モゥブレィはスエードシャンプーを新品に使わないよう案内)
  • 洗えるかどうか、靴の表示や購入した店の案内で確かめられない靴
  • 色の濃い靴と薄い色のパーツが組み合わさった靴(色移りが心配な場合)
  • スエード以外の素材(スムースレザー・エナメル・布など)と組み合わさった靴
  • 高価な靴、思い入れのある靴
  • 目立たない場所で試したら、色落ちやシミが出た靴

M.モゥブレィは、色落ち、シミ、ムラになる特殊な皮革もあると注意しています。また、シミの種類や時間の経過によっては、シャンプーでもシミが取れないこともあるとしています。

専用シャンプーでの洗い方

ここでは、M.モゥブレィ「スエードシャンプーの使用方法」の手順をもとに紹介します。使うシャンプーによって手順が違う場合は、その製品の説明に従ってください。

  1. 靴紐を外し、ブラシでホコリを落とす

    表面の軽い汚れやホコリを、先にブラシで落としておきます。

  2. 部分的な汚れをクリーナーで落とす

    目立つ汚れは、先に起毛革用のクリーナーで落としておきます。

  3. スポンジで靴の表面をしっかり濡らす

    バケツの水とスポンジ、タオルを用意します。

  4. シャンプーを泡立てて、円を描くように洗う

    スポンジにシャンプーを適量取って泡立て、靴全体にのせます。ブラシで円を描くように洗います。

  5. 泡と汚れを水で洗い流す

    スポンジで、表面に残った泡と汚れを水で落とします。シャンプーが残らないよう、しっかりすすぎます。タオルで余分な水分を拭き取ります。

  6. 形を整えて陰干しする

    シューツリーを入れ、甲のシワを伸ばして形を整えます。風通しのよい日陰で、中までしっかり乾かします。

  7. 乾いたらブラッシングと栄養・防水スプレー

    乾くと毛が寝ているので、ブラシで毛を起こします。栄養スプレーや防水スプレーで仕上げると、発色がよくなるとM.モゥブレィは案内しています。

靴を水につけ込む洗い方や、洗濯機で洗う方法は避けます。CHARLES & KEITH の公式ガイドも、スエードを水で洗ったり、水に浸したりしないよう注意しています。スエードのスニーカーでも、メーカーが洗濯機洗いを案内していない限り、同じように考えるのが安心です。

雨に濡れたときの乾かし方

雨の日はスエードを避ける方もいますが、防水スプレーをしておけば、ある程度の雨ははじきます。それでも濡れてしまったら、次の手順で乾かします。

  1. タオルで押さえて水を吸い取る

    こすらず、タオルを押し当てるようにして水分を吸い取ります。

  2. 紙を詰めて、形を整える

    新聞紙などを丸めて中に詰めます。湿ってきたら、こまめに入れ替えます。薄い色の靴は、インクが移らないよう白い紙やタオルを使うのがおすすめです。

  3. 風通しのよい日陰で自然に乾かす

    ドライヤーなどの熱風は、変形や変色のもとになると言われています。日陰で時間をかけて乾かします。

  4. 乾いたらブラッシングと防水スプレー

    完全に乾いたら、ブラシで寝た毛を起こして整えます。防水スプレーをかけ直しておきます。

乾いたあとに輪じみや白い粉が残った場合は、前の章の「雨ジミ・白い粉(塩)」を参考にしてください。

スエード靴の保管とやってはいけないこと

保管のポイント

  • しっかり乾かし、ブラシでホコリを落としてからしまう
  • シューツリーや紙を入れて、形を保つ
  • 直射日光の当たらない、湿気の少ない場所に置く
  • 長くしまうときは、通気性のある布袋や箱に入れ、乾燥剤を添える

東京都立皮革技術センターの資料(「皮革の性質・よくある質問‐Q&A②」)では、染めた革は色が薄いほど紫外線で色あせしやすいと説明されています。スエードの靴も、日光に長く当てないほうが安心です。日の当たる窓際や玄関へ、出しっぱなしにしないのがおすすめです。湿気がこもると、カビやにおいのもとにもなります。においが気になるときは、靴の臭いを消す方法も参考にしてください。

やってはいけないこと

やってはいけないこと 理由
靴クリームを塗る 毛が寝て固まる。起毛革に靴クリームは使えない(M.モゥブレィ)
濡れた状態で泥をこする 汚れが毛の奥に入り込みやすいと言われている
ワイヤーブラシで強くこする 毛をおこす力が強い分、革を傷めやすい
ドライヤー・ストーブで乾かす 変形や変色のもとになると言われている
水につけ込む・洗濯機で洗う 水に浸さないよう注意あり(CHARLES & KEITH)。風合いを損ねるおそれ
成分のわからないウェットシートで拭く シミや変色のおそれ(CHARLES & KEITH)
防水スプレーを一度に大量にかける シミやムラになりやすい(コロンブス「アメダス」)
屋内で防水スプレーをかける 吸い込みのおそれ。アメダスは屋外での使用を案内

よくある質問

スエードの靴に靴クリームは使えますか?

使えません。起毛革に靴クリームを塗ると、毛が寝て固まってしまいます。栄養を与えたいときは、起毛革用の栄養スプレー(無色のものなど)を使います。

スエードの汚れは普通の消しゴムでも落とせますか?

CHARLES & KEITH の公式ガイドのように、普通の消しゴムで代用できるとする解説もあります。ただ、手元にあるなら起毛革用の消しゴムタイプのクリーナーを使うのがおすすめです。どちらも、目立たない場所で試してから使ってください。

スエードの靴は洗濯機で洗えますか?

おすすめできません。スエードを水につけたり洗濯機で洗ったりすると、風合いを損ねるおそれがあると注意するクリーニング店もあります。洗う場合は、起毛革用のシャンプーとスポンジで表面を洗い、日陰で乾かします。不安な場合は靴のクリーニング店に相談してください。

雨の日にスエードの靴を履いても大丈夫ですか?

防水スプレーをかけて乾かしておけば、ある程度の雨ははじきます。M.モゥブレィも、事前のケアをしたうえで雨の日にスエードを履くことを提案しています。濡れたら、タオルで押さえて水分を取り、日陰で自然に乾かしてください。

まとめ

スエード靴の手入れは、次の3つを押さえれば始められます。

  • ふだん:ブラシでホコリをかき出し、毛並みを整える
  • ときどき:栄養スプレーと防水スプレーで、水と汚れから守る
  • 汚れたら:汚れに合った起毛革用の道具で落とす。丸洗いは最後の手段

靴クリームは使わないこと、熱で乾かさないことも覚えておきましょう。つるつるした革の靴の手入れは、革靴の手入れ方法で紹介しています。ほかのお手入れの記事は、お手入れのカテゴリにまとめています。