ブーツの手入れ方法|表革・スエード・長靴の素材別ケアと保管

結論から言うと、ブーツの手入れは「ほこりを落とし、形を整えて乾かす」ことがどの素材にも共通する基本です。そのうえで、表革・スエード・ゴムなど、素材に合う道具を選ぶのがポイントです。この記事では、ロングブーツやワークブーツ、レインブーツを長く履きたい方に向けて、素材別の手入れ方法を整理します。あわせて、シーズンが終わったときのしまい方も紹介します。
結論
まずはブーツの素材を確かめることから始めます。脱いだらほこりを落とし、キーパーで形を整えて陰干しするのが毎回の基本です。シーズンオフにはひと通り手入れしてから、湿気の少ない場所へしまうのがおすすめです。
まずはブーツの素材を確かめる
ブーツの手入れは、素材によって使える道具が違います。たとえば、表革に使う靴クリームは、スエードには使わないのが一般的です。ゴムは油性の製品に弱いとされています。まずは、靴の中のタグや取扱説明書、購入時の商品ページで素材を確かめましょう。
| 素材 | 見た目の特徴 | 手入れの基本 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 表革(スムースレザー) | 表面がなめらかで、ツヤがある | ブラシ、クリーナー、靴クリーム | 水洗いは避ける |
| オイルドレザー | 油分を含み、しっとりした手ざわり | ブラシ、オイル | 製品に合う用品を選ぶ |
| スエード・ヌバック(起毛革) | 表面が毛羽立っている | 専用ブラシ、スプレー | 靴クリームは使わない |
| 合成皮革(合皮) | 表革に似ていて、見た目では見分けにくい | 合皮に使えるローションで拭く | 革用のオイルが使えるとは限らない |
| ゴム(長靴・レインブーツ) | 弾力があり、水をはじく | 水かぬるま湯で拭く | 油性の製品は使わない |
| ムートン(羊の毛皮) | 外側が起毛、内側がもこもこの毛 | 起毛革用のブラシ、専用スプレー | 洗えるかは表示を確かめる |
ひとつのブーツに、いくつかの素材が組み合わされていることもあります。その場合は、それぞれの部分に合う用品を使い分けるか、どの素材にも使えると書かれた用品を選びます。
どの素材にも共通する、脱いだあとの手入れ
素材に関係なく、履いたあとに続けたいのが次の流れです。毎回ここまでしておくと、汚れがたまりにくくなり、定期的な手入れも楽になります。
ほこりや泥を落とす
ブラシや乾いた布で、表面のほこりや砂を落とします。靴底やかかとまわりの泥も、乾いたら払っておきます。
ブーツキーパーや紙で形を整える
ブーツキーパーを入れると、筒の部分のシワや折れ曲がりを防ぎやすくなります。バネの力で筒を内側から支え、折れやすい足首まわりの形を保つタイプもあります。キーパーがなければ、丸めた新聞紙を詰める方法もあります。
風通しのよい日陰で乾かす
脱いですぐに靴箱へしまうと、汗の湿気がこもります。しばらく風通しのよい日陰に置いて、湿気を逃がしてからしまいます。
同じブーツを続けて履かない
1日履いたら、次の日は別の靴にして休ませるのがおすすめです。東京都立皮革技術センターの会報『かわとはきもの』では、同じ靴を続けて履くと靴の中の細菌が増えたという調査が紹介されています。詳しくは靴の臭いを消す方法で紹介しています。
表革(スムースレザー)のブーツの手入れ
表面がなめらかな革のブーツは、革靴と同じ流れで手入れできます。ここでは、靴ケア用品メーカーのコロンブスが公式サイトで紹介している「スムースレザーのお手入れ」をもとに、ブーツで気をつけたい点を加えてまとめます。道具の選び方や頻度は、革靴の手入れ方法で詳しく紹介しています。
そろえたい道具
| 道具 | 使う場面 |
|---|---|
| 馬毛ブラシ | ほこりを落とす |
| クリーナー(汚れ落とし) | 汚れや古いクリームを落とす |
| 靴クリーム | 革に油分と水分を補う |
| 豚毛ブラシ | クリームをなじませる |
| 布(クロス) | クリーナーやクリームを塗る、乾拭きする |
| 防水スプレー | 仕上げに雨や汚れから守る |
| ブーツキーパー | 手入れ中と保管中に形を保つ |
手入れの手順
靴紐を外し、ブーツキーパーを入れる
靴紐のあるブーツは、紐を外すと羽根(紐を通す部分)の内側まで手入れしやすくなります。キーパーで筒のシワを伸ばしておくと、シワの奥まで手が届きます。
馬毛ブラシでほこりを落とす
ほこりが残ったままクリームを塗ると、汚れを塗り込んでしまいます。コロンブスは、かかとからつま先へ一方向にブラシをかける方法を紹介しています。ブーツは、筒の部分も同じようにブラッシングします。
クリーナーで汚れと古いクリームを落とす
クリーナーは靴に直接つけず、布に少量取ってやさしく拭きます。コロンブスは、使う前に目立たない場所で試すことと、お手入れ3回に1回の割合で使うことを目安として案内しています。
靴クリームを薄く塗る
クリームは少量ずつ、数回に分けて塗ります。コロンブスは、1回に取る量の目安をコーヒー豆1粒分としています。筒の部分は面積が広いので、少しずつ塗り広げます。
ブラシでなじませ、乾拭きする
豚毛ブラシでクリームをなじませ、布で余分なクリームを拭き取ります。
防水スプレーで仕上げる
コロンブスは、靴から20〜25cm離し、表面が軽く濡れる程度に吹きかけるよう案内しています。スプレーは屋外など、風通しのよい場所で使います。
オイルドレザーのワークブーツ
ワークブーツには、油分を多く含んだオイルドレザーが使われていることがあります。M.モゥブレィの公式サイトでは、オイルドレザーの手入れとして次の流れを紹介しています。
- 靴紐を外し、シューツリーを入れて形を整える
- 馬毛ブラシで軽く汚れを落とす
- クリーナーを布に取り、全体を拭いて汚れを落とす
- オイルをコットンに取り、全体に塗り込む
- ブラシでオイルをなじませ、布で余分なオイルを拭き取る
ブーツのメーカーが、専用のケア用品や手順を案内していることもあります。ティンバーランドの公式サイトでは、ケア用品を使う前に目立たない場所で少量を試すよう案内しています。同じページでは、ワックス系の保護剤「ワキシマム」について、スエードとヌバックには使えないと案内しています。手持ちのブーツのメーカーに案内があれば、それに合わせるのがおすすめです。
合成皮革(合皮)のブーツの手入れ
合成皮革は、見た目が表革に似ていても、革とは手入れが違います。M.モゥブレィの公式サイトでは、ラバー・ビニール・合成皮革のブーツや長靴について、次の手順を紹介しています。
- 靴紐がついている場合は外す
- 合成皮革などに使えるローションを、よく振ってからコットンに取り、全体を拭いて汚れを落とす
- コットンの乾いた面で乾拭きする
革用のクリームやオイルは、合成皮革に使えるとは限りません。使う前に、用品のラベルで対応する素材を確かめましょう。
合成皮革に使われるポリウレタン樹脂は、使わずにしまっておいても、時間がたつと劣化していきます。クリーニング業の全国団体である全ク連の資料では、空気中の水分による加水分解などが原因で、コーティングがはがれたり、べたついたりすると説明しています。カケンテストセンターは、劣化を完全に防ぐことはできないものの、適切な温度と湿度で保管すれば遅らせることはできるとしています。ときどき箱から出して風を通したり、履いたりするのがおすすめです。
スエード・ヌバックのブーツの手入れ
表面が毛羽立った起毛革のブーツには、靴クリームを使わず、専用のブラシとスプレーで手入れします。ここでは、コロンブスの公式サイト「スエードのお手入れ」をもとに、ブーツで気をつけたい点を加えて流れをまとめます。
スエード用のブラシでほこりを落とす
毛足の奥にたまったほこりを、スエード専用のブラシでかき出します。筒の部分も、同じようにブラッシングします。
部分的な汚れはガムタイプのクリーナーで落とす
つま先やかかとの黒ずみは、起毛革用のガムタイプ(消しゴムのような形)のクリーナーで、やさしくこすり落とします。強くこすりすぎないよう、少しずつ様子を見ます。
栄養スプレーで色と風合いを整える
起毛革用の栄養スプレーをかけて、色調を保ちます。色あせが気になる部分は、補色用のスプレーやマーカーで補います。
防水スプレーで仕上げる
最後に、起毛革用の防水スプレーをかけます。コロンブスは、防水スプレーが水分だけでなく油分からも起毛革を守ると説明しています。
汚れ別の落とし方や、専用シャンプーでの洗い方は、スエード靴の手入れ方法で詳しく紹介しています。
ムートンブーツ
ムートンブーツには、外側が起毛した羊の毛皮が使われています。ふだんは、起毛革用のやわらかいブラシで毛並みに沿ってほこりを落とします。汚れや水から守るために、ムートンに使えると書かれた防水スプレーを使う方法もあります。靴店の銀座ワシントンの公式サイトでは、ムートンブーツには専用の防水スプレーを使い、かかとなど目立たない場所で試してから使うよう勧めています。
洗えるかどうかは、製品によって違います。同じページでは、フェイクムートンは中性洗剤を溶かした水で押し洗いできると紹介しています。本革のムートンは、専用のクリーナーを使った手入れ方法を案内しているメーカーもあります。洗う前に、洗濯表示やメーカーの案内を確かめましょう。
ゴム長靴・レインブーツの手入れ
ゴム製の長靴やレインブーツは、革とはまったく違う手入れが必要です。ここでは、靴メーカーのムーンスターとハンターの公式サイトの案内をもとにまとめます。
汚れ落としと乾かし方
水かぬるま湯で汚れを拭き取る
ムーンスターは、水か40℃以下のぬるま湯を使い、古い布でやさしく汚れを落とすよう案内しています。汚れがひどい場合は、バケツの中や流水で洗う方法もあります。ハンターも、使ったあとはぬるま湯で拭いて自然乾燥させるとしています。
内側に水を入れないようにする
ムーンスターによると、内側に水が残ると乾きにくく、カビの原因になることがあります。起毛素材を使った防寒タイプは、特に注意が必要とされています。
折り曲げずに立てて陰干しする
風通しのよい日陰で、まっすぐ立てて乾かします。ムーンスターは、折れ曲がった部分からひび割れが起きやすいと説明しています。
表面が白くなったとき(ブルーミング)
ゴムの表面が、白い粉をふいたようになることがあります。ムーンスターは、これを「ブルーミング」と呼び、製造時に加えた配合剤が表面ににじみ出たもので、使用には影響しないと説明しています。ハンターも、天然ゴムの性質としてよく起こる現象で、機能や耐久性には影響しないとしています。
気になる場合は、ゴム用の艶出し剤やコーティング剤で拭き上げると、きれいになるとされています。ただし、細かい傷が原因で白くなったものは、拭き上げても元に戻らないとムーンスターは案内しています。
油性の製品や靴底への塗布は避ける
ムーンスターは、艶出し剤などは水性タイプを使うよう案内しています。ゴムは油性の製品に弱く、劣化の原因になるためです。ハンターも、溶剤や油がつくとゴムが膨張し、滑りやすくなると注意しています。
また、艶出し剤やコーティング剤は、靴底には塗らないようにします。ムーンスターは、靴底に塗ると滑る危険があると案内しています。
雨や雪で濡れたときの手入れ
革のブーツが雨や雪で濡れたら、まず表面の水と汚れを拭き取ります。コロンブスは、濡れた靴はシューツリーを入れて形を整え、風通しのよい日陰で乾かすよう案内しています。リーガルは、乾燥剤を入れて、風通しのよい日陰で半日ほど乾かす方法を紹介しています。ドライヤーやストーブの熱で急に乾かすのは避けましょう。
完全に乾いたら、汚れを落として、クリームで油分を補います。雨ジミや白い粉が出たときの対処は雨の日の革靴の手入れ、乾かし方のコツは濡れた靴を早く乾かす方法で紹介しています。
シーズンオフのブーツの保管方法
冬が終わってブーツをしまうときは、汚れと湿気を残さないことが大切です。ここでは、ブーツならではの保管のポイントを紹介します。靴全般の保管方法は、靴の保管方法にまとめています。
しまう前にやること
素材に合わせて、ひと通り手入れする
ほこりや汚れを落とし、表革ならクリームで油分を補ってからしまいます。汚れが残ったままだと、カビやシミのもとになりやすいと言われています。
内側まで、しっかり乾かす
最後に履いた日の湿気が残っていることがあります。風通しのよい日陰で、内側までしっかり乾かしてからしまいます。
キーパーや紙で形を整える
ロングブーツは、ブーツキーパーや紙筒を入れて、筒が折れないようにします。ゴム長靴は、キーパーがなければ購入時に入っていた保型芯でも代用できると、ムーンスターは案内しています。
乾燥剤を入れて、湿気の少ない場所にしまう
箱に入れる場合は、乾燥剤を一緒に入れておきます。コロンブスは、靴の中の余分な湿気を乾燥剤で取り除いてから保管するよう勧めています。
ロングブーツは寝かせて保管する
銀座ワシントンの公式サイトでは、玄関に出したままだと重力で筒が下がってくるため、シーズンオフは箱に入れて寝かせて保管する方法を紹介しています。ハンターも、折り畳んだり、シワが寄ったりした状態で保管しないよう案内しています。筒の部分が折れたままになると、クセやひび割れのもとになることがあります。
湿気をためない場所を選ぶ
保管場所は、直射日光が当たらず、湿気の少ない場所を選びます。ハンターは、熱源や過度な低温、日光を避け、涼しく湿気の少ない場所に保管するよう案内しています。銀座ワシントンは、下駄箱は下の段ほど湿気がこもりやすいため、シーズンオフの靴は上の段にしまうよう紹介しています。
カビが心配な場合は、革に使える防カビスプレーを使う方法もあります。コロンブスは、カビ用のミストについて、抗菌剤が革に浸透してカビの生育を抑えると説明しています。ヌメ革など使えない革もあるので、表示を確かめてから使いましょう。すでにカビが生えてしまったときの落とし方は、靴のカビの取り方をご覧ください。
ときどき出して風を通す
しまったままにせず、ときどき箱から出して風を通すと安心です。乾燥剤は使ううちに湿気を吸う力が落ちるので、製品の表示に合わせて交換します。日に干すと吸湿力が戻り、くり返し使えるシリカゲルタイプの乾燥剤もあります。
保管前のチェックリスト
- ほこりや泥、靴底の汚れを落とした
- 表革はクリームで油分を補った
- 内側まで、しっかり乾いている
- ブーツキーパーや紙で、筒の形を整えた
- 乾燥剤を入れた
- 直射日光が当たらず、湿気の少ない場所を選んだ
- ロングブーツは寝かせ、ゴム長靴は折り曲げていない
よくある失敗・注意点
- スエードに表革用の靴クリームを塗る: 起毛革には靴クリームを使わず、専用のブラシとスプレーで手入れします
- ゴム長靴に油性の製品を使う: ゴムが膨張したり、劣化したりする原因になるとされています
- 濡れたまま、汚れたまましまう: カビやシミのもとになります。内側まで乾かし、汚れを落としてからしまいます
- ロングブーツを折り曲げてしまう: 折れたところにシワやひび割れが出やすくなります
- 熱で一気に乾かす: ドライヤーやストーブ、直射日光で、革が硬くなったり形が崩れたりすることがあります
- 用品を試さずに全体へ使う: 色の変わることがあります。目立たない場所で試してから使います
自分で落とせない汚れやカビ、ファスナーの不具合などは、靴の修理店やクリーニング店に相談する方法もあります。
よくある質問
買ったばかりのブーツは、履く前に何をすればよいですか?
ほこりを払い、素材に合う防水スプレーをかけておくと、汚れや雨から守りやすくなります。コロンブスは、表革の靴の履きおろし前に、保湿用のクリームを塗ってから防水スプレーで仕上げる手順を紹介しています。スエードやムートンは、その素材に使えるスプレーを選びましょう。
ブーツの手入れは、どれくらいの頻度ですればよいですか?
ほこりを落とすブラッシングは、履くたびに行うのが基本です。コロンブスは、表革のクリーナーをお手入れ3回に1回の割合で使うことを目安としています。クリームは、表面が乾いて見えるときやツヤがなくなったときを目安にするのがおすすめです。
100円ショップの道具でも手入れできますか?
ブラシや布、乾燥剤などは、手入れに使えるものもあります。クリームやスプレー、クリーナーは、ラベルで自分のブーツの素材に使えるかを確かめてから使いましょう。目立たない場所で試してから全体に使うと安心です。
ブーツキーパーがないときはどうすればよいですか?
丸めた新聞紙や紙筒を詰めて、筒が折れないようにする方法があります。ゴム長靴は、購入時に入っていた保型芯でも代用できるとムーンスターは案内しています。新聞紙は湿気を吸うので、しまうときは乾いたものに入れ替えましょう。
まとめ
ブーツの手入れは、素材によって使う道具と手順が変わります。どの素材でも、脱いだらほこりを落とし、キーパーで形を整えて日陰で乾かすことが基本です。表革はクリームで油分を補い、スエードは専用のブラシとスプレーで、ゴム長靴は水かぬるま湯で拭いて手入れします。シーズンオフには、ひと通り手入れして内側まで乾かし、ロングブーツは寝かせて湿気の少ない場所にしまうのがおすすめです。
表革の手入れの道具や頻度は革靴の手入れ方法、起毛革の汚れ別の落とし方はスエード靴の手入れ方法で詳しく紹介しています。しまい方は靴の保管方法、ほかのお手入れの記事はお手入れのカテゴリからご覧ください。