靴のカビ取り方法|革靴・スニーカー別の落とし方とNGな手入れ

結論から言うと、靴のカビはマスクをして乾いた布で表面のカビを払い、素材に合ったカビ取り剤で除菌してから、風通しのよい日陰でしっかり乾かすのが基本です。革靴は水で洗い流さず、浴室用の塩素系カビ取り剤も使わないようにします。この記事では、靴箱から出した靴にカビが生えていた方に向けて、カビの落とし方を素材別に紹介します。革靴・スエード・スニーカー・インソールの手順と、やってはいけない手入れ、自分で取れないときの相談先までまとめました。
結論
まずは屋外か換気した場所で、マスクをして表面のカビを払うことから始めます。革靴は革用のカビ取り剤で除菌し、直射日光を避けて日陰で乾かすのが基本です。スニーカーは、洗える素材なら洗ってつま先までしっかり乾かします。
まず確かめたいこと:カビか、革から出る白い粉か
革靴に白い粉のようなものが出ていても、カビとは限りません。大阪府立の公設試験研究機関(現在のORIST)の研究報告(佐藤恭司「皮革表面に発生した白い物質の分析」2000年)があります。この報告では、カビの胞子に似た粉や糸のようなものが革の表面に出ることがあると紹介されています。これは「スピュー」と呼ばれ、革に含まれる油脂などが表面に出てきたものです。同じ報告では、カビが生えたというクレームが、気温の下がる冬場に特に多く寄せられるとされています。衣料用の革やバッグでは通常は白色で、革全体に出ることも、部分的に出ることもあるそうです。
見た目だけで見分けるのは難しいため、次の点を目安にします。あくまで目安で、これだけで判断できるわけではありません。
| 手がかり | カビの可能性が高い | スピューの可能性がある |
|---|---|---|
| 出てきた時期 | 湿気の多い季節に、しまっていた靴に出た | 寒い時期に出た |
| 色 | 白のほか、黒や赤などの色がある | 白っぽい |
判断がつかないときは、自己流で薬剤を使う前に、靴のクリーニング店や靴修理店に相談すると安心です。
靴にカビが生える原因
大田区公式ホームページの「カビ」のページ(生活衛生課)では、住居内のカビが好む条件として次の3つを挙げています。
- 温度が20〜35℃
- 湿度が60%以上
- 手垢などの汚れやホコリなどの栄養分がある
靴用品メーカーのM.MOWBRAYも、公式ブログで「高温・多湿・汚れ」がそろうとカビが増えやすいと説明しています。靴の場合は、履いたあとの汗や湿気、表面のホコリや汚れが残りやすいものです。そのまま風の通らない靴箱にしまうと、この条件がそろいやすくなります。梅雨から夏にかけて、しまっていた靴にカビが生えやすいのはこのためと考えられます。
カビを生えにくくする保管のしかたは、靴の保管方法で詳しく紹介しています。
カビ取りの前に用意するもの
作業中はカビが舞いやすいので、道具と場所を先に整えておきます。コロンブスがカビ用ミストの発売時に公開した使い方(2016年8月1日のプレスリリース)でも、マスクの着用が案内されています。
| 用意するもの | 使い方・ポイント |
|---|---|
| マスク | カビを吸い込まないように着けます |
| 使い捨ての手袋 | 素手でカビや薬剤に触れないようにします |
| 乾いた布(捨ててよいもの) | 表面のカビを拭き取ります。使ったらビニール袋に入れて捨てます |
| 靴用のブラシ | 縫い目やスエードの毛足のカビを払います |
| 素材に合ったカビ取り剤 | 革靴には「革用」と書かれたものを選びます |
| 新聞紙 | スプレーの液だれを受けます |
| 革用のクリーム | 革靴の仕上げに使います |
作業する場所は、ベランダなどの屋外か、窓を開けて換気した部屋がおすすめです。コロンブスの「よくあるご質問」によると、カビ用ミストを多量に吸い込んだり、締め切った部屋で使ったりすると、気分が悪くなることもあります。そのため、換気して使うよう案内されています。体調が悪くなったときは作業をやめ、必要に応じて医師に相談してください。
革靴のカビの落とし方
ここでは、表面がつるっとしたスムースレザーの革靴を例に、コロンブスが公開している手順をもとに流れをまとめます。ブーツも、表革なら同じ流れで手入れできます。ブーツならではの手入れはブーツの手入れ方法で紹介しています。
湿っていたら、先に日陰で乾かす
靴が湿っている場合は、風通しのよい日陰で乾かしてから作業します。取り外せるインソールは、靴から出しておきます。
乾いた布やブラシで、表面のカビを落とす
マスクと手袋を着け、乾いた布で表面のカビを拭き取ります。カビが広い範囲にあるときは、布の面を替えながら拭きます。使った布はビニール袋に入れて捨てます。
革用のカビ取り剤で除菌する
コロンブスの手順では、カビ用ミストを布に吹きつけて、表面のカビを拭き取ります。そのあと、カビが生えていた部分を中心に、約10cm離して直接スプレーします。使い方は製品によって違うので、手元の製品の説明に従います。
風通しのよい日陰で乾かす
スプレーした液は拭き取らず、そのまま日陰で乾かします。直射日光に当てて乾かすのは避けます。
乾いたら、クリームで手入れする
完全に乾いたら、革に合ったクリームで手入れします。クリームの塗り方は革靴の手入れ方法で詳しく紹介しています。
1回で取りきれないカビもあります。コロンブスは、カビを落としてスプレーし、十分に乾かして様子を見る流れを繰り返すよう案内しています。一度に多くスプレーすると、シミや変色が出やすくなるため、少しずつ分けて行うのがポイントです。
カビ取り剤の選び方
靴用品メーカーからは、革に使えるカビ取り剤が出ています。選ぶときは、次の点を確かめるのがおすすめです。
- 「革用」「皮革製品用」と書かれているか: 浴室用など、ほかの用途のカビ取り剤は使いません
- 使えない革が書かれていないか: コロンブスのカビ用ミストは、ヌメ革や素仕上げの革、爬虫類などの特殊な革には使えないとしています
- 自分の靴の素材に対応しているか: スエードやヌバックに使えるかは製品によって違います
どの製品も、目立たない場所で試してから使うと安心です。コロンブスも、素材によってはシミになることがあるとして、事前に試すよう案内しています。
消毒用アルコールは使っていい?
身近な消毒用アルコールで拭く方法は、ネット上の記事でも意見が分かれています。靴磨き店のブログには使う方法を紹介するものがある一方で、靴修理店のブログには色抜けや表面の荒れにつながるとして使わないよう書いたものもあります。
迷ったときは、革用と書かれたカビ取り剤を使うのが無難です。どうしても使う場合は、目立たない場所で試してからにしましょう。
スエード・ヌバックのカビの落とし方
スエードやヌバックなどの起毛革は、毛足の間にカビが入り込みやすい素材です。流れは革靴と同じで、マスクをしてブラシで表面のカビを払い、起毛革に使えるカビ取り剤で除菌してから日陰で乾かします。コロンブスも、乾いたあとは必要に応じてブラッシングで仕上げるよう案内しています。
起毛革は、クリームを塗らずに手入れするものが多く、道具も表革とは違います。ふだんの手入れはスエード靴の手入れ方法で紹介しています。
スニーカーのカビの落とし方
スニーカーは、素材によって洗えるかどうかが変わります。まずは靴の中のタグや取扱説明書で、洗える素材かを確かめましょう。
布・メッシュのスニーカー
布やメッシュのスニーカーは、洗える製品なら手洗いでカビごと汚れを落とせます。アシックスの公式サイトのお手入れ方法をもとに、流れをまとめます。
屋外で、乾いたブラシで表面のカビを払う
マスクを着け、屋外で表面のカビを払います。靴ひもと、取り外せるインソールも外しておきます。
水につけて湿らせ、シューシャンプーで洗う
靴を水につけて全体を湿らせ、シューシャンプーで洗います。アシックスは、熱いお湯に長くつけると色落ちのおそれがあると案内しています。強くこすりすぎると素材を傷めることもあります。
洗剤が残らないよう、よくすすぐ
きれいな水で、洗剤が残らなくなるまですすぎます。
形を整え、風通しのよい日陰で乾かす
白い布や紙を詰めて形を整え、風通しのよい日陰で乾かします。生乾きのまましまうと、またカビが生えるもとになるので、つま先の奥まで乾いたかを確かめます。
洗い方の詳しい手順はスニーカーの洗い方、白いスニーカーは白いスニーカーの洗い方で紹介しています。早く乾かすコツは濡れた靴を早く乾かす方法をご覧ください。
カビの跡が残ると、漂白剤を使いたくなるかもしれません。衣料用の塩素系漂白剤には、白無地衣料専用で色物・柄物には使えないとされているものがあります(花王「ハイター」など)。色のあるスニーカーに使うと、色落ちするおそれがあります。漂白剤を使うときは、靴と漂白剤の両方の表示を確かめましょう。
レザースニーカー・合成皮革のスニーカー
天然皮革のスニーカーは、革靴と同じ手順で手入れします。アシックスは、天然皮革の水洗いは表面を傷める原因になるため、できるだけ避けるよう案内しています。
アシックスの案内では、人工皮革の表面は、やわらかい白い布で水拭きすれば汚れが落ちるとされています。カビは乾いた布で払ってから、固く絞った布で拭き取り、日陰で乾かします。合成皮革にカビ取り剤を使う場合は、合成皮革にも使えると書かれた製品を選びます。
靴の内側・インソールのカビ
靴の内側やインソールは、汗を吸いやすく、カビが生えやすい場所です。カビ臭さが気になるときは、外側だけでなく内側も手入れします。
- インソール: 取り外して、洗える素材なら手洗いし、完全に乾かします。カビが落ちないときや傷んでいるときは、新しいインソールに替えるのも1つの方法です
- 内側(内張り): 乾いた布でカビを拭き取ってから、素材に合ったカビ取り剤で除菌します。革の内張りには革用の製品を使います
- 乾かし方: 靴の口を開けて立てかけ、つま先の奥まで乾かします。インソールは乾いてから戻します
靴の臭い全般の対策は、靴の臭いを消す方法で紹介しています。
カビ取りでやってはいけないこと
よかれと思ってした手入れで、カビが広がったり、靴を傷めたりすることがあります。次のような手入れは避けましょう。
| やってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 革靴を水で洗い流す | アシックスは、天然皮革の水洗いは表面を傷める原因になると案内しています。湿気が残ると、カビが生えやすい状態にもなります |
| 浴室用の塩素系カビ取り剤を使う | M.MOWBRAYは、市販のカビ取り剤の多くは塩素系の強アルカリ性で、革の染色や塗装を傷つけるおそれがあると説明しています |
| 室内でカビを払う | カビが部屋に舞い、ほかの靴や家具につくおそれがあります。屋外か換気した場所で作業します |
| 直射日光やドライヤーで一気に乾かす | アシックスは、直射日光やドライヤーなどでの強制乾燥を避けるよう案内しています。ドライヤーなどの強制乾燥は変形の原因になるとしています |
| カビ取り剤を一度に多く吹きつける | コロンブスは、シミや変色のリスクが高まるとして、少しずつ分けて使うよう案内しています |
| 乾ききらないうちに靴箱へ戻す | 湿ったまましまうと、またカビが生えやすくなります |
塩素系のカビ取り剤は、酸性タイプの製品と混ざると有害な塩素ガスが出ます。そのため、家庭用品の表示に関する法律のルールにもとづき、「まぜるな 危険」と表示されています。靴に使わないのはもちろん、ほかの場所の掃除で使うときも表示を守りましょう。
自分で取れないときは
カビが革の奥まで入り込んでいると、自分では取りきれないことがあります。コロンブスも、深く入り込んだカビは完全に取りきれない場合があり、残ったシミは落ちないことがあると案内しています。
靴のクリーニング店「靴専科」のよくある質問では、靴の表面のカビは除去できる一方で、奥まで入り込んだカビを完全に取り除くのは難しいとしています。カビによる黒や赤の跡は残りやすく、クリーニングとあわせて補色をすすめています。
次のような場合は、靴のクリーニング店や靴修理店に相談するのがおすすめです。
- 何度手入れしてもカビが出てくる
- カビの跡やシミが残って目立つ
- 大切な靴や高価な靴で、自分で薬剤を使うのが不安
- スピューかカビか、見分けがつかない
修理やクリーニングの料金は、店舗によって違います。相談する前に、店の公式サイトで受けつけている靴の種類や料金を確かめておくと、行き違いを防げます。
カビを再発させないために
カビを落とした靴も、同じしまい方を続けると、またカビが生えやすくなります。ここでは、カビ取りのあとに気をつけたいことを短くまとめます。
- 履いたらすぐしまわない: M.MOWBRAYは、帰宅後に馬毛ブラシでホコリを落とし、風通しのよい場所で半日ほど乾かす手入れを紹介しています
- 靴箱を換気し、掃除する: 扉をときどき開けて空気を入れ替え、ホコリや泥を取り除きます
- しまう前に防カビ剤を使う: コロンブスは、湿度の高い季節は1〜2か月に1回程度を目安に、カビ用ミストをスプレーするようすすめています。しまう前のスプレーも案内しています
保管場所や靴箱の湿気対策は、靴の保管方法で詳しく紹介しています。
よくある質問
靴にカビキラーなど浴室用のカビ取り剤を使ってもいいですか?
浴室用の塩素系カビ取り剤は、靴には使わないのが無難です。革の染色や塗装を傷めたり、色のある布を色落ちさせたりするおそれがあります。革靴には、革用と書かれたカビ取り剤を使いましょう。
消毒用アルコールで拭いても大丈夫ですか?
ネット上の記事でも意見が分かれています。色抜けなどを心配する声もあるため、革用と書かれたカビ取り剤を使うほうが安心です。使う場合は、目立たない場所で試してからにしましょう。
カビが生えた靴は捨てたほうがいいですか?
表面のカビなら、手入れで落とせることがあります。自分で落とせない場合も、靴のクリーニング店や靴修理店に相談する方法があります。ただ、奥まで入り込んだカビや跡は取りきれないこともあるので、靴の傷み具合とあわせて判断しましょう。
同じ靴箱にあったほかの靴は大丈夫ですか?
同じ靴箱の靴も、湿気や汚れの条件は同じです。ほかの靴にカビが出ていないかを確かめ、靴をすべて出して靴箱を掃除し、よく乾かしてから戻すと安心です。
まとめ
靴のカビは、マスクをして屋外か換気した場所で表面のカビを払い、素材に合ったカビ取り剤で除菌してから、日陰でしっかり乾かすのが基本です。革靴は水で洗い流さず、浴室用の塩素系カビ取り剤も使わないようにします。布やメッシュのスニーカーは、洗える素材なら手洗いし、つま先の奥まで乾かします。奥まで入り込んだカビや跡が残る場合は、靴のクリーニング店や靴修理店に相談するのがおすすめです。
革靴のふだんの手入れは革靴の手入れ方法、スニーカーはスニーカーの洗い方で詳しく紹介しています。カビを生えにくくするしまい方は、靴の保管方法をご覧ください。