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お手入れ

靴の保管方法|カビや加水分解を避ける毎日とシーズンオフのしまい方

公開日 文・足もとマガジン編集部

扉を開けた白い靴箱に、間隔をあけて並べた革靴・スニーカー・パンプス

結論から言うと、靴の保管は「汚れを落としてよく乾かし、風通しのよい日陰にしまう」ことが基本です。湿気と汚れが残ったままだと、カビやにおい、素材の傷みにつながりやすくなります。この記事では、革靴やスニーカー、パンプスなどを長く履きたい方に向けて、保管のコツを整理します。脱いだ靴を靴箱にしまうまでの手順、靴箱の湿気対策、シーズンオフのしまい方、素材別の注意を順に紹介します。あわせて、しまっていた靴を久しぶりに履く前の「加水分解」の点検方法も紹介します。

結論

毎日の保管は、脱いだ靴をすぐ靴箱にしまわず、湿気を抜いてからしまうことが出発点です。長くしまう靴は、汚れを落として乾かし、形を整えてからしまい、ときどき出して風を通すのがおすすめです。

靴の保管で気をつけたい4つのこと

靴を傷める原因は、大きく分けて湿気・汚れ・熱と光・型崩れの4つです。スニーカーなどでは、これに「加水分解」という素材の劣化が加わります。まずは、それぞれが靴にどう影響するかを押さえておきましょう。

湿気:カビやにおいのもとになる

大田区のホームページ「カビ」では、カビが生えやすい条件を次のように説明しています。

条件 大田区の説明
温度 おおむね20〜35℃
湿度 60%以上
栄養分 手垢やほこり、水分などの汚れ

履いたあとの靴の中は、汗で湿っています。コロンブスの「雨の日オススメケア」でも、汗で蒸れて湿気がたまった靴はカビが発生しやすいと注意を促しています。湿ったまま閉じた靴箱にしまうと、カビの好む条件がそろいやすくなります。

汚れ:革の傷みやカビにつながる

マドラスの「靴のお手入れ方法・保管方法について」では、汚れをつけたまま長く置くと、革の劣化やカビの原因になると説明しています。同じページでは、長く履かずにしまう靴は、お手入れしてから保管するよう案内しています。表面のほこりや泥だけでなく、内側にしみた汗や皮脂も汚れの1つです。

熱と光:変形や色あせのもとになる

ワークマンの靴の取扱説明書には、日の当たる場所など暑いところに置くと変形する場合がある、と書かれています。同じ説明書では、車内など高温になる場所での保管を避けるよう案内しています。東京都立皮革技術センターの資料「皮革の性質・よくある質問‐Q&A②」では、色の薄い染色物は紫外線で退色しやすいと説明しています。窓際や日の当たる玄関に、靴を出しっぱなしにしないのがおすすめです。白いスニーカーの黄ばみが気になる方は、白いスニーカーの洗い方も参考にしてください。

型崩れ:シワや形のゆがみが残る

履いたあとの靴には、歩いたときのシワが入っています。マドラスは、保管するときはシュートゥリー(シューツリー)を入れるよう案内しています。シワを伸ばして型崩れを防ぎ、湿気も吸ってくれるためです。靴箱に詰め込みすぎて、靴どうしが押し合う状態も型崩れのもとになります。

スニーカーなどに起きる「加水分解」

加水分解は、水分の作用でプラスチックの結合が切れ、強度が落ちる現象です。スニーカーや登山靴の靴底に使われるポリウレタンは、種類によっては水分で加水分解して劣化する素材です。東京都生活文化局の「登山靴・トレッキングブーツの事故防止テスト」(平成16年)では、次のように紹介されています。

  • ポリウレタン製のミッドソール(靴底の中間の層)は、一般に製造後5年程度が寿命と言われている
  • 高温で水分がある状態では、劣化が速く進む
  • 新品のポリウレタン製ミッドソールを100℃の水蒸気に10日間置く試験では、加水分解が確認され、強度が大きく下がった

この試験は劣化を早めるための厳しい条件で、資料でも、実際の保管でこれほど早く劣化が進むわけではないと説明されています。

ワークマンの取扱説明書にも、靴は保管中でも自然と劣化していくと書かれています。つまり、しまっておくだけで傷みがまったく進まないわけではありません。マドラスは、ポリウレタン底の加水分解も、換気で湿気を減らすことで発生が遅くなると説明しています。完全には止められない劣化だからこそ、湿気の少ない場所に置き、ときどき状態を確かめることが大切です。

毎日の保管:脱いだ靴をしまうまで

毎日履く靴は、脱いだあとのひと手間で傷み方が変わります。次の流れを習慣にするのがおすすめです。

  1. 脱いだらすぐ靴箱にしまわず、風を通す

    履いたあとの靴には、その日の汗の湿気が残っています。玄関などの風通しのよい場所にしばらく置き、湿気を抜いてから靴箱にしまいます。取り外せるインソールは、出しておくと乾きやすくなります。

  2. 濡れた靴は、乾燥剤や紙で水分を取る

    雨や汗でしっかり濡れたときは、靴用の乾燥剤や丸めた紙を入れて水分を取ります。紙は湿ったら取り替えます。ストーブなど火の近くで乾かすのは避けます。詳しい乾かし方は濡れた靴を早く乾かす方法で紹介しています。

  3. ブラシでほこりを落とす

    表面のほこりや泥は、ブラシで落としてからしまいます。汚れをためないことが、カビや革の傷みを遠ざける近道です。

  4. シューツリーを入れて形を整える

    革靴は、シューツリーを入れてシワを伸ばします。シューツリーがない靴は、丸めた紙を軽く詰めて形を保つ方法もあります。

  5. 翌日は別の靴を履く

    同じ靴を続けて履くと、乾ききらないうちにまた汗を吸うことになります。何足かを順番に履くと、それぞれの靴を休ませやすくなります。

同じ靴を続けて履く日数が長くなると、靴の中の細菌が急に増えたという調査結果もあります。調査の内容は靴の臭いを消す方法で紹介しています。革靴のブラッシングやクリームの手順は、革靴の手入れ方法をご覧ください。

靴箱(下駄箱)の湿気とカビ対策

靴箱は扉を閉めると空気が入れ替わりにくく、湿気がこもりやすい場所です。マドラスは、玄関の靴箱は風通しがよくない場合もあるため、乾燥剤を置くことを勧めています。大田区も、カビ対策として下駄箱や押入れを定期的に換気するよう案内しています。

対策 ポイント
ときどき扉を開けて換気する 晴れて乾いた日に、しばらく扉を開けておきます
乾燥剤・除湿剤を置く 交換や再生の時期を、製品の表示で確かめます
靴を詰め込みすぎない 靴どうしのすき間があると、空気が通りやすくなります
湿った靴を入れない 乾ききっていない靴が1足あると、靴箱全体が湿りやすくなります
棚や床の汚れを拭く 砂やほこりはカビの栄養分になります。拭いたあとは乾かしてから靴を戻します
季節外の靴も出してみる 奥にしまったままの靴ほど、カビに気づきにくくなります

すでにカビが生えてしまった靴の落とし方は、靴のカビの取り方で詳しく紹介しています。カビが出た靴のそばにあった靴も、一緒に確かめておきます。

シーズンオフ・長く履かない靴のしまい方

ブーツやサンダルなど季節の決まった靴や、冠婚葬祭用の靴は、数か月しまったままになりがちです。長くしまう前に、次の手順で準備しておくと、次に履くときも状態を保ちやすくなります。

  1. 汚れを落とす

    表面の汚れと、内側の汗や皮脂の汚れを落とします。洗える素材のスニーカーは、洗ってからしまうのもおすすめです。洗い方はスニーカーの洗い方で紹介しています。

  2. つま先の奥までしっかり乾かす

    洗った靴や、最後に履いてから日が浅い靴は、風通しのよい日陰で乾かします。表面が乾いていても、つま先の奥やインソールの下は湿っていることがあります。

  3. 素材に合った手入れをする

    革靴は、汚れを落としてからクリームで仕上げます。スエードなど起毛した革は、ブラッシングで毛並みを整えます。

  4. シューツリーや紙を入れて形を整える

    形を整えた状態でしまうと、シワや型崩れが残りにくくなります。ブーツは、筒の部分が折れないように支えを入れます。

  5. 湿気の少ない日陰にしまう

    直射日光が当たらず、湿気の少ない場所を選びます。車内や、日の当たる窓際は避けます。

箱や袋に入れるかどうか

買ったときの箱やジップ付きの袋に入れて保管するかどうかは、記事によって意見が分かれています。ほこりや光を避けられる一方で、湿気が残ったまま閉じこめると、中にこもりやすくなるためです。どちらの方法をとる場合も、次の点は共通です。

  • しっかり乾かしてから入れる(湿ったまま入れない)
  • 乾燥剤を添え、交換の時期を決めておく
  • 箱はふたを少しずらす、ときどき開けるなど、湿気を逃がす機会をつくる
  • 中が見えない箱には、靴の名前やしまった日を書いておく

ジップ付きの袋で密閉して保管する方法を紹介する記事もあります。一方で、マドラスやワークマンの案内では、風通しのよい場所や通気性のよい場所での保管を勧めています。迷ったときは、その靴のメーカーの案内に従うのが安心です。

ときどき出して風を通す

コロンブスは、カビが発生した製品について、湿気の少ない場所で保管するか、定期的に陰干しするよう案内しています。カビが出ていなくても、長くしまう靴はときどき出して、カビやベタつきがないかを確かめておきます。梅雨の前後や季節の変わり目を目安にすると、確認を忘れにくくなります。

素材別の保管のポイント

同じ「保管」でも、素材によって気をつけたいことが少しずつ違います。手元の靴の素材に合わせて確認してください。

素材・靴の種類 保管のポイント 詳しい記事
表革(スムースレザー) 汚れを落とし、クリームで仕上げてからシューツリーを入れる。塩化カルシウム系の除湿剤に触れさせない 革靴の手入れ方法
スエード・ヌバック ブラシでほこりを落とし、直射日光の当たらない場所に置く スエード靴の手入れ方法
エナメル 高温になる場所と、極端に寒い場所を避ける —
合成皮革 湿気や日光、高温を避け、風通しのよい日陰に置く —
スニーカー(布・ポリウレタン底) 洗う場合はつま先までよく乾かしてからしまう。靴底の劣化に注意 スニーカーの洗い方
ブーツ ブーツキーパーや紙で支えを入れ、筒が折れないようにして保管する ブーツの手入れ
ゴム長靴 汚れを落として陰干しし、折り曲げずに保管する ブーツの手入れ

エナメルについて、M.モゥブレィは、暑さに弱く高温の場所ではベタつくことがあると説明しています。極端な寒さでは、ひび割れることもあるとしています。同社によると、一度ベタついたりひび割れたりすると直せません。エナメルの靴は、夏の車内や暖房の近くを避けて保管しましょう。

合成皮革について、クリーニング業の全国団体(全ク連)の資料では、合成皮革に使われるポリウレタンは時間がたつと劣化が進むと説明しています。その要因として、空気中の水分による加水分解や、紫外線、熱などが挙げられています。ゴム長靴について、ムーンスターは、折れ曲がったところからひび割れが起きやすいと説明しています。陰干しするときも保管するときも、折り曲げずに立たせておくよう案内しています。製品の取扱説明書やタグがあれば、その表示を優先してください。

久しぶりに履く前のチェック

長くしまっていた靴は、履いて出かける前に状態を確かめます。東京都生活文化局の資料では、登山の前に靴底を繰り返し曲げて、ひび割れなどの異常がないか確かめるよう呼びかけています。登山靴に限らず、ポリウレタンの靴底を使った靴では、同じ確認をしておくと安心です。

  • 靴底を曲げてみる: ひび割れや、ボロボロと崩れる部分がないか
  • 靴底と本体のつなぎ目を見る: 接着がはがれかけていないか
  • 表面を触ってみる: ベタつきや粉っぽさがないか
  • 内側をのぞく: 白や緑の点など、カビが出ていないか
  • においを確かめる: カビのにおいがしないか

東京都立皮革技術センターの資料には、保管中の革製品の表面がベタついた事例も載っています。その原因の1つとして、ポリウレタン系の仕上げの加水分解が挙げられています。靴底のはがれを見つけたときの対処は、靴底が剥がれたときの直し方で紹介しています。崩れが広い範囲に及んでいる場合は、靴の修理店に相談するか、買い替えを考えるのも1つの方法です。

よくある失敗・注意点

  • 履いてすぐ靴箱にしまう: 汗の湿気がこもり、カビやにおいのもとになりやすくなります
  • 濡れた靴をストーブやドライヤーで一気に乾かす: 熱による変形や、革の硬化につながることがあります
  • 日の当たる場所や車内に置く: 変形や色あせ、エナメルのベタつきにつながることがあります
  • 靴箱にぎゅうぎゅうに詰める: 型崩れのもとになり、空気も通りにくくなります
  • 除湿剤を革靴に触れさせる: 塩化カルシウム系の除湿剤が溶けて革につくと、元に戻らないことがあります
  • しまったきり何年も確かめない: 加水分解やカビに気づくのが遅れます

よくある質問

買ったときの箱に入れたまま保管してもいいですか?

ほこりや光を避けられる一方で、湿気がこもりやすいという指摘もあります。入れる場合は、しっかり乾かしてから乾燥剤を添え、ときどきふたを開けて状態を確かめるのがおすすめです。

ジップ付きの袋に入れて保管してもいいですか?

密閉して保管する方法を紹介する記事もありますが、靴メーカーの案内では、風通しのよい場所での保管を勧めるものが目立ちます。湿気が残ったまま閉じこめると中にこもりやすいため、使う場合は完全に乾かしてから乾燥剤と一緒に入れましょう。迷ったときは、その靴のメーカーの案内を優先してください。

新聞紙を詰めて保管してもいいですか?

湿気を吸わせたり形を保ったりする目的で、紙を丸めて詰める方法はよく紹介されています。マドラスは、新聞紙のインクが靴につかないよう、ティッシュでくるんでから入れる方法を紹介しています。紙は湿ったら取り替え、湿ったまま入れっぱなしにしないようにしましょう。革靴を長くしまうなら、シューツリーを入れる方法もあります。

加水分解した靴は直せますか?

靴底を丸ごと交換する「オールソール」を受け付けている修理店もあります。ただし、靴の状態や形によっては修理できない場合もあります。崩れが広い範囲に及んでいるときは、安全のために買い替えも検討してください。まずは購入したお店や修理店に相談してみてください。

まとめ

靴の保管で気をつけたいのは、湿気・汚れ・熱と光・型崩れの4つです。毎日の保管は、脱いだ靴をすぐしまわず、湿気を抜いてから靴箱に入れることが出発点です。靴箱はときどき換気し、乾燥剤を置き、詰め込みすぎないようにします。長くしまう靴は、汚れを落として乾かし、形を整えてから、湿気の少ない日陰にしまいます。ポリウレタンの靴底は保管中にも劣化が進みます。久しぶりに履く前は、靴底を曲げて確かめましょう。

革靴の手入れは革靴の手入れ方法、スニーカーはスニーカーの洗い方で詳しく紹介しています。カビが生えてしまったときは靴のカビの取り方をご覧ください。ほかのお手入れの記事はお手入れのカテゴリからご覧ください。