ほどけない靴紐の結び方3選|すぐほどける原因と直し方を図解

結論から言うと、靴紐がすぐほどける原因の多くは、蝶結びが縦向きになる「縦結び」と、ゆるい土台のひと結びです。まず結び方の向きを直し、それでもほどけるならイアンノットか二重蝶結びに変えると、ほどけにくくなります。この記事では、スニーカーを例に、図で見ながらすぐ試せる3つの結び方と選び方を紹介します。
結論
ほどけにくくするコツは、土台のひと結びをしっかり締めることと、蝶結びを横向きにそろえることです。手早く結ぶならイアンノット、よりしっかり固定したいなら二重蝶結びがおすすめです。
靴紐がすぐほどける3つの原因
蝶結びが縦向きになっている(縦結び)
蝶結びの輪が左右ではなく、つま先と足首の方向を向き、結び目がねじれている状態を「縦結び」と呼びます。縦結びは、見た目が整わないだけでなく、ほどけやすい結び方だと言われています。
カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、2017年に英国王立協会の学術誌『Proceedings of the Royal Society A』で、靴紐がほどける仕組みを報告しました。それによると、まず歩くときの着地の衝撃で結び目がゆるみます。そこへ脚を振る動きで紐の端が大きく振られ、結び目がすべってほどけていくそうです。
この研究では、締めると平らに寝る「強い結び方」と、ねじれてしまう「弱い結び方」も比べています。弱い結び方のほうが、ずっと早くほどけたと報告されています。ねじれて平らにならない結び目は、いわゆる縦結びの状態にあたります。
土台のひと結びがゆるい
蝶結びの前に結ぶ「ひと結び」は、結び目全体の土台です。ここがゆるいまま輪を作ると、結び目と靴のあいだにすき間ができ、歩くたびに結び目が動きやすくなります。
紐の素材や長さが合っていない
表面がつるつるした紐は、結び目がすべりやすいと言われています。靴紐の解説サイト「Ian’s Shoelace Site」でも、縦結びでないのにほどける場合は、紐のすべりやすさを原因の1つに挙げています。紐が長すぎて輪や端が大きく垂れていると、歩くたびに大きく揺れ、引っかかりやすくなります。
自分の結び目がどちらか迷ったら、結び終えたあとに輪の向きを見てみてください。輪がつま先と足首の方向を向いていれば縦結び、左右に寝ていれば横結び(正しい蝶結び)です。
まずは縦結びを直す:ひと結びで重ねる紐を逆にする
Ian’s Shoelace Site によると、縦結びは、ひと結びとその上の蝶結びの部分で、紐をねじる向きが同じになると起こります。どちらか一方の向きを逆にすると、ねじれが打ち消し合い、横向きの蝶結びになります。同サイトでは、蝶結びの部分より、ひと結びの重ね方を変えるほうが覚え直しやすいとしています。ここでは、その方法を紹介します。基本の蝶結びの手順は、靴紐の結び方で図解しています。
図は、自分の靴を見下ろした向きで描いています。つま先は図の上の方向にあり、左右は自分から見た左右と同じです。左の穴から出る紐を黄、右の穴から出る紐を青で色分けしています。紐が重なるところでは、上を通る紐を切れ目なく描き、下をくぐる紐を途切れさせています。本文の「上」は自分の目に近い側、「下」は靴の甲に近い側のことです。
黄=左の紐青=右の紐
いつもと逆の紐を上にして、X字に重ねる
いつも左の紐(黄)を上に重ねているなら、右の紐(青)を上に重ねます。いつも青を上にしているなら、黄を上にします。図は、青を上に重ねた場合です。
上に重ねた紐を下にくぐらせ、すき間から出して締める
上に重ねた青の先を、黄の下(靴側)にくぐらせて三角のすき間から上へ出し、左へ引き出します。左右へ引いて、結び目を靴に沿わせるように締めます。
いつもどおりに蝶結びをして、輪の向きを確かめる
輪を作って巻きつける部分は、いつもの結び方のままで構いません。結び終えたら、輪が左右に寝ているかを確かめます。
手早くほどけにくい「イアンノット」の結び方
イアンノットは、イアン・フィーゲン(Ian Fieggen)氏が考案した結び方です。左右の紐で同時に輪を作って結ぶため、考案者のサイトでは「世界でいちばん速い靴紐の結び方」として紹介されています。できあがりは、基本の蝶結びと同じ形になると説明されています。
黄=左の紐青=右の紐
ひと結びして、根元までしっかり締める
左の黄を右の青の上に重ね、黄の先を青の下にくぐらせて、三角のすき間から右へ引き出します。左右へ引いて締めると、黄が右側、青が左側に来ます。
青と黄で輪を作り、どちらも左回りにひねる
左側の青と右側の黄を、それぞれ折り返して輪にします。次に、2つの輪を左回り(反時計回り)に少しひねります。左の青の輪は紐の端が輪の上に、右の黄の輪は紐の端が輪の下に来ます。
青の紐の端が上に来るように、2つの輪を重ねる
青の輪を右へ、黄の輪を左へ寄せて、2つの輪を重ねます。このとき、青の輪から出ている紐の端が、いちばん上を通るようにします。
互いの輪の中から相手の紐をつかみ、引き通す
左手の指で、青の輪の中から黄の紐をつかみます。右手の指で、黄の輪の中から青の紐をつかみます。そのまま、それぞれを自分の側へ引き出して輪にします。紐の端まで引き抜かず、輪の形を残すのがポイントです。
左右へ同時に引いて締める
新しくできた左の黄の輪と、右の青の輪をつまみ、左右へ同時に引きます。輪が左右に寝ていれば完成です。
うまく結べないときのコツ
うまくいかないときは、手順3で青の紐の端が上を通っているかを確認してみてください。引き通すときに紐の端まで引き抜くと、輪のない固い結び目になってしまいます。結び目が縦になる場合は、ひと結びの重ね方が逆になっている可能性があると、考案者のサイトでは説明されています。最初はゆっくり、手順を確かめながら何度か練習するのがおすすめです。
しっかり固定したいなら「二重蝶結び」
二重蝶結びは、蝶結びで輪に巻きつける回数を、1周から2周に増やす結び方です。Ian’s Shoelace Site では「Better Bow Shoelace Knot」として紹介され、基本の蝶結びよりほどけにくい結び方とされています。
黄=左の紐青=右の紐
ひと結びして締め、右側の黄で輪を作る
ひと結びをしっかり締めます。右側に来た黄の紐を折り返して輪を作り、根元を指でつまみます。
青を、黄の輪の根元に2周巻きつける
左側の青を黄の輪の下にくぐらせて右へ回し、輪の上に重ねて左へ戻します。同じ動きをもう一度くり返し、2周巻きつけます。輪をつまんでいる指先ごと巻くと、次の手順で通す穴を作りやすくなります。
青を折り返して2周の内側へ押し込み、右へ引き出す
青を折り返し、2周巻いた青と黄の輪の根元のあいだへ、上から押し込みます。指先ごと巻いた場合は、指を抜きながら、その跡に通します。黄の輪の右側へ出てきた青を引き出し、輪にします。
左右へ引いて締める
黄の輪と青の輪を左右へ引いて締めます。中央に、青が2重に巻いた結び目ができます。
結び方の選び方(シーン別)
3つの結び方の特徴と、向いているシーンをまとめました。
| 結び方 | 特徴 | 向いているシーン |
|---|---|---|
| 縦結びを直した蝶結び | いつもの結び方のまま、ひと結びの向きだけを直す | 普段の通勤や買い物 |
| イアンノット | 左右同時に輪を作る。考案者のサイトでは最速の結び方とされている | 急いでいる朝、子どもの送迎、ウォーキング |
| 二重蝶結び | 巻きつけを2周にする。結び目が少し大きくなる | 長く歩く日、すべりやすい紐 |
まずは縦結びを直すところから始め、それでもほどけるときに、イアンノットか二重蝶結びを試してみてください。
結び方以外でほどけにくくする工夫
足首側の穴でゆるみを取ってから結ぶ
紐がゆるんだまま結ぶと、結び目より下の紐が歩くたびに動き、結び目もゆるみやすくなります。結ぶ前に、つま先側から足首側へ順に紐を引き、ゆるみを足首側へ送っておくのがおすすめです。とくに足首側の2段は、かかとを靴に合わせた状態で、しっかり締めておきましょう。場所ごとの締め具合の目安は正しい靴の履き方、紐の通し方は靴紐の通し方で紹介しています。
紐の素材と長さを見直す
表面がつるつるした紐でほどけやすいと感じるときは、紐を替える方法もあります。Ian’s Shoelace Site では、すべりやすい紐の対策として、綿の紐を試すことを挙げています。紐が長すぎる場合は、輪を小さめに作るか、靴の穴の数に合った長さの紐に替えると扱いやすくなります。余った紐の始末は、長い靴紐を短くする結び方で紹介しています。
結ばない靴紐という選択肢
何度結び直してもほどける場合や、結ぶ手間そのものを減らしたい場合は、結ばずに使える靴紐を使う方法もあります。ゴム製の紐や、紐を固定する留め具などがあり、商品によってはスリッポンのように脱ぎ履きできます。種類と選び方は、靴紐を結ばない方法で紹介しています。
よくある失敗と注意点
- 輪や紐の端が大きすぎる: 歩くたびに大きく揺れ、引っかけたり踏んだりしやすくなります。輪は小さめに作りましょう
- 最初のクロスの向きを毎回変えている: 向きが変わると、縦結びになったり、ならなかったりします。ひと結びで上に重ねる紐を、いつも同じにそろえておくのがおすすめです
- 仕上げにもうひと結びする: 蝶結びの輪をさらに結ぶ方法(ダブルノット)は、ほどけにくくはなります。ただ、Ian’s Shoelace Site によると、紐の端を引いてもほどけず、結び目をほぐす手間がかかります
- 締めすぎる: 強く締めすぎると、足の甲が圧迫されて窮屈に感じることがあります。歩いて圧迫を感じない範囲で締めるのが目安です
よくある質問
絶対にほどけない結び方はありますか?
結び方だけで、ほどけるのを完全に防ぐのは難しいと言われています。縦結びを直し、イアンノットや二重蝶結びにすると、ほどけにくくなります。それでも気になる方は、結ばない靴紐も検討してみてください。
子どもでもできる結び方はどれですか?
まずは横向きの蝶結びを覚えるのがおすすめです。先に両方の紐で輪を作る「ふたつ輪」の結び方は、靴紐の結び方の記事で紹介しています。慣れてきたら、左右同時に輪を作るイアンノットを試してみてください。
二重結び(ダブルノット)ではだめですか?
仕上げにもうひと結びすると、ほどけにくくはなります。ただ、紐の端を引いてもほどけなくなり、脱ぐときに結び目をほぐす手間がかかります。手早くほどきたいなら、二重蝶結びやイアンノットを試してみてください。
まとめ
靴紐がすぐほどける原因の多くは、縦結びと、ゆるい土台のひと結びです。まずはひと結びをしっかり締め、蝶結びを横向きにそろえてみてください。それでもほどけるときは、手早く結べるイアンノットか、しっかり固定できる二重蝶結びに変えるのがおすすめです。
基本の蝶結びの手順や、目的別の結び方の一覧は、靴紐の結び方で紹介しています。ほかの結び方や履き方のコツは、結び方・履き方の記事一覧にまとめています。