革靴の紐の結び方|シングル・パラレルの通し方と隠す結び方を図解

結論から言うと、革靴の紐は「シングル」か「パラレル」で通し、蝶結びを横向きに整えるのが基本です。どちらも紐が横一直線に並ぶ通し方で、スニーカーのような交差がないため、足もとがすっきり見えます。この記事では、2つの通し方の違いと手順を図で紹介します。あわせて、結び目を隠す方法や、冠婚葬祭・就活で気をつけたい紐まわりのマナーも解説します。
結論
見た目を重視するならシングル、ゆるみにくさを重視するならパラレルがおすすめです。結び目は横向きの蝶結びに整えておくと、冠婚葬祭でも落ち着いて見えます。
革靴の紐の通し方はシングルとパラレルの2つが基本
革靴の紐の通し方として、よく紹介されるのが「シングル」と「パラレル」です。どちらも、外から見ると紐が横一直線に並びます。違いは、靴の内側で紐がどう渡っているかです。
シングルとパラレルの違い
靴ガイドの飯野高広さんによる All About の解説をもとに、2つの違いを整理しました。
| 比べる点 | シングル | パラレル |
|---|---|---|
| 内側の紐の渡し方 | 片方の紐が、いちばん下から上まで斜めに渡る | 左右の紐が、1段ずつ交互に斜めに渡る |
| 見た目 | 表に出る紐の厚みが少なく、とてもすっきり見える | すっきり見え、どんな靴にもなじみやすい |
| ゆるみにくさ | 締める力が片側にかたよるため、ゆるみやすい | 内側と外側にほぼ均等に力がかかり、ゆるみにくい |
| 左右の紐の長さ | そろえにくい | そろえやすい |
| 向く靴・場面 | 内羽根のストレートチップなど、フォーマルな靴 | どんな靴・場面にもなじみやすい |
All About の解説では、パラレルは「どのようなスタイルにも無難にまとまる」通し方として紹介されています。シングルは見た目がきれいな一方で、ゆるみやすい点に注意が必要とされています。どちらにするか迷ったら、まずはパラレルから試すのがおすすめです。
スニーカーでよく使われるオーバーラップやアンダーラップなど、ほかの通し方は靴紐の通し方で紹介しています。
内羽根・外羽根との相性
紐で締める革靴には、羽根(紐を通す穴が並んだ部分)のつくりによって「内羽根」と「外羽根」があります。内羽根は、羽根が甲の革の下に縫い込まれ、V字に閉じるつくりです。外羽根は、羽根が甲の革の上に乗り、外側に開くつくりです。
内羽根の靴は、左右の羽根のすき間が狭くなります。そのため、紐が横一直線に並ぶシングルやパラレルが、形に沿ってきれいに見えます。All About の解説でも、シングルは内羽根のキャップトウ(ストレートチップ)のような、フォーマル度の高い靴に向くとされています。
外羽根の靴も、シングルやパラレルで通せます。甲が高めで締め具合を細かく調整したい方には、オーバーラップなど交差させる通し方という選択肢もあります。内羽根と外羽根の違いやフォーマル度は、革靴の選び方で詳しく紹介しています。
シングルの通し方
シングルは、片方の紐を内側で斜めに上まで渡し、もう片方の紐で横の線を作っていく通し方です。All About の解説でも、最初の紐をいちばん下の穴からいちばん上の穴へいきなり通す手順が紹介されています。ここでは、鳩目(はとめ:紐を通す穴)が左右5組の革靴を例にします。図は、自分の靴を見下ろした向きで描いています。図の上がつま先側、下が足首側です。本文の「いちばん下の穴」はつま先側、「いちばん上の穴」は足首側の穴を指します。紐は、最後に左のいちばん上の穴から出る紐を黄、右のいちばん上の穴から出る紐を青で示しています。いちばん下の横の線の中央で、色が切り替わると考えてください。
黄=左の紐青=右の紐
いちばん下の穴に、外から横一直線に通す
いちばん下の左右の穴に、外から紐を通します。表には横一本の線ができ、紐の両端は靴の内側に入ります。左右の長さは、最後に紐を送って調整します。
左の穴から入った紐(青)を、内側で右のいちばん上まで斜めに渡す
左の穴から入った紐(青)は、靴の内側を斜めに通して、右側のいちばん上の穴から外へ出します。この紐は表に出ないので、外からはほとんど見えません。
右の穴から入った紐(黄)で、1段ずつ横の線を作る
右の穴から入った紐(黄)を、内側で斜めに上げて左の2段目の穴から出し、外側を横に渡して右の2段目の穴へ入れます。次も内側で斜めに上がり、左の3段目の穴から出して、同じように右へ渡します。これをくり返し、最後は左のいちばん上の穴から外へ出します。
シングルは、締める力が片側にかたよりやすい通し方です。紐を締めるときは、下の段から1段ずつ順にたるみを取ると、羽根がゆがみにくくなります。
パラレルの通し方
パラレルは、左右の紐が内側で1段ずつ交互に斜めへ上がり、表では横の線を作っていく通し方です。シングルと同じく、鳩目が左右5組の革靴を例にし、最後に左のいちばん上の穴から出る紐を黄、右のいちばん上の穴から出る紐を青で示します。
黄=左の紐青=右の紐
いちばん下の穴に外から通し、左右の長さをそろえる
いちばん下の左右の穴に、外から紐を通します。表に横一本の線ができたら、内側に入った両端の長さをそろえます。
左右の紐を、内側で交互に斜めに上げて横に渡す
左の穴から入った紐(青)を、内側で斜めに上げ、右の2段目の穴から出します。外側を横に渡し、左の2段目の穴へ入れます。次に、右の穴から入った紐(黄)を、内側で斜めに上げて左の3段目の穴から出し、右の3段目へ渡します。そのあとも左右の紐を交互に使います。内側では1段とばしで斜めに上げ、表では横に渡します。
いちばん上の穴から、左右の紐を外へ出す
最後の2本は横に渡さず、内側で斜めに上げて、左右のいちばん上の穴から外へ出します。この通し方では、いちばん上の段には横の線ができず、左右の穴から両端がそのまま出る形になります。
All About の解説では、鳩目が5組や3組のような奇数組の靴は、最初に両端の長さをそろえておくとよいとされています。そうすると、最後に出てくる左右の紐の長さもそろいやすくなります。なお、Ian’s Shoelace Site(靴紐の結び方を研究する Ian Fieggen 氏のサイト)では、表の見た目が同じ「Straight Bar Lacing」が紹介されています。こちらは内側の紐が同じ側を1段とばしでまっすぐ上がる通し方で、鳩目が偶数組の靴に向くとされています。
革靴の紐の結び方(蝶結び)
通し方が決まったら、最後は蝶結びで留めます。革靴でも、結び方そのものはスニーカーと同じ蝶結びが基本です。
基本の蝶結びを横向きに整える
蝶結びは、次の順で結びます。1手順ずつ詳しく知りたい方は、靴紐の結び方も参考にしてください。
ひと結びして、根元までしっかり締める
左右の紐を交差させてひと結びし、足の甲に沿うように締めます。
片方の紐で輪を作る
片方の紐を折り返して、輪を1つ作ります。
もう片方の紐を輪に巻きつけ、すき間から押し出す
もう片方の紐を輪の根元に巻きつけ、できたすき間から押し出して、2つめの輪にします。
左右の輪を引いて締め、横向きに整える
左右の輪を同じくらいの力で引いて締めます。輪が左右に寝て、横向きになっていれば完成です。
結んだ輪が縦向きになり、つま先とかかとの方向を向いてしまうことがあります。いわゆる「縦結び」で、見た目が整わないうえに、ほどけやすい結び方だとされています。Ian’s Shoelace Site では、縦結びは靴紐がゆるんだりほどけたりする、もっともよくある原因だと説明しています。直し方は、最初のひと結びを左右逆に重ねることです。いつも右を上に重ねているなら、左を上にして結び直します。
ほどけやすいときの結び方
革靴の紐は、スニーカーの紐よりほどけやすいと感じることがあります。靴のケア用品メーカーのコロンブスは、ビジネスシューズの紐は丸いものが多く、ほどけてしまうことが少なくないとしています(2014年のプレスリリース)。
ほどけにくい結び方としてよく紹介されるのは、「イアンノット」です。左右の紐で同時に輪を作り、輪どうしを交差させて結ぶ方法です。考案者の Ian’s Shoelace Site では、仕上がりはふつうの蝶結びと同じ形で、すばやく左右対称に結べる結び方と説明しています。手順は同サイトに図つきで載っています(英語)。メンズ誌 MEN’S EX の記事では、イアンノットを革靴で試した結果が紹介されています。平紐では1日ほどけなかった一方で、丸紐では1時間ほどでゆるんだそうです。ただし、ふつうの蝶結びよりはほどけにくかったとしています。紐の形や素材によって、ほどけにくさは変わると考えておくとよいでしょう。
結び目を隠す結び方
結び目や蝶結びの輪を見せたくない場合は、結び目を靴の内側に入れる方法があります。ここでは2つの方法を紹介します。
結び目を内側で結ぶ「ヒドゥンノット」
Ian’s Shoelace Site では、「Hidden Knot Lacing(ヒドゥンノット)」が紹介されています。表に横の線だけが並び、結び目を内側に隠す通し方です。パラレルに似た通し方で、左右の紐がいちばん上の段と2段目のあいだの内側で出会うように通し、そこで結びます。
同サイトでは、次のような特徴が挙げられています。
- 表には横の線だけが並び、すっきりした見た目になる
- 結び目は靴の内側で結ぶため、慣れるまでは結びにくい
- 結び目や紐の端が足に当たって、少し違和感を覚えることがある
- 鳩目が偶数組(6組など)の靴に向き、奇数組では通し方にひと工夫が必要になる
結び目が足に当たる場合は、結び目を足の外側寄りにずらすと気になりにくいとされています。試す前に、手持ちの靴の鳩目が何組あるかを数えておくと安心です。
結んだ紐の端を羽根の内側にしまう
もっと手軽なやり方として、蝶結びをしたあと、輪と紐の端を羽根の内側に差し込む方法もあります。外から見ると、横の線だけが並んでいるように見えます。ただし、結び目の厚みが足の甲に当たることがあります。履いたあとに、当たりや締めつけがないかを確かめておきたいところです。
紐を結ばずに端をしまう方法は、靴紐を結ばない方法で紹介しています。革靴は足に合わせてしっかり締めて履く靴なので、結ばずに履く方法は、脱ぎ履きの多い日などに限って使うのがおすすめです。
隠すときの注意点
結び目を内側に入れると、紐をほどいたり締め直したりするのに手間がかかります。紐をゆるめないまま脱ぎ履きすると、靴を傷めやすいとも言われています。外出先で靴を脱ぐ予定がある日は、ふつうの蝶結びにしておくと安心です。
冠婚葬祭・就活での紐のマナー
結婚式やお葬式、就活の面接など、改まった場面では、足もとの紐まわりも見られています。靴そのものの選び方は、結婚式の靴のマナー、お葬式の靴、就活の靴で紹介しています。ここでは紐まわりにしぼって解説します。
通し方はシングルかパラレルで整える
改まった場面では、紐が横一直線に並ぶシングルかパラレルがおすすめです。All About の解説では、シングルはフォーマル度の高い靴に向く通し方とされています。また、アシックス商事の革靴の解説では、内羽根は冠婚葬祭のようなフォーマルな場面に向くとされています。冠婚葬祭の革靴としては、黒の内羽根ストレートチップがよく挙げられます。
紐は靴と同じ色で、傷みのないものに
黒の革靴なら、紐も黒を選んでおくと目立たず無難です。紐がほつれていたり、色があせていたりする場合は、式の前に替えておくと安心です。紐の長さの目安は、靴紐の長さの選び方で紹介しています。
結び目を隠すかどうか
冠婚葬祭の靴の案内では、靴の色やつま先のデザイン、素材について書かれたものが中心です。紐の結び目を隠すよう求める案内は、編集部が確認した範囲では見当たりませんでした。気になる場合は、横向きの蝶結びをきちんと整えておくと、足もとが落ち着いて見えます。お葬式や法事では、お座敷へ上がるために靴を脱ぐ場面もあります。結び目を内側に隠すと脱ぎ履きに時間がかかるため、ふつうの蝶結びのほうが扱いやすいこともあります。
きれいに履くための締め方
通し方や結び方を整えても、締め方が甘いと、紐がゆるんで見た目がくずれます。革靴を履くときは、次の順で締めるのがおすすめです。
紐をゆるめてから足を入れる
下の段から紐をゆるめ、羽根を広げてから足を入れます。靴べらを使うと、かかとが入りやすくなります。
かかとを靴の後ろに合わせる
かかとを床にトントンと軽く当て、靴の後ろにぴったり合わせます。
下の段から順に、足に沿わせて締める
つま先側の段から1段ずつ、紐のたるみを上へ送るように締めます。
蝶結びをして、歩いて確かめる
蝶結びをしたら少し歩き、きつすぎたりゆるすぎたりしないかを確かめます。
靴店「足道楽」のブログでは、紐を真横に引くだけだと靴の上のほうしか締まらないとしています。甲は痛いのに、靴全体は締めきれず、ゆるいままになることもあるそうです。革を足に沿わせるイメージで、紐を引く向きを工夫すると、すき間ができにくくなります。
脱ぐときも、先に紐をゆるめるのがおすすめです。スーツ専門店 ONLY のコラムでは、紐を結んだまま脱ぎ履きすると靴が傷みやすいとして、脱ぐときはほどくようすすめています。靴の履き方の全体は、正しい靴の履き方で詳しく紹介しています。
紐を買い替えるときの選び方
革靴の紐は、使ううちにほつれたり、色があせたりします。買い替えるときは、次の点を見ておくと選びやすくなります。
- 形:革靴には丸紐(断面が丸い紐)が多く使われている
- 色:靴と同じ色を選ぶとなじみやすい
- 太さ:鳩目の穴に通る太さか、もとの紐と比べる
- 長さ:鳩目の数と通し方に合う長さか確かめる
丸紐はすっきり見える一方で、ほどけやすいという声もあります。ほどけやすさが気になる方は、平紐を選ぶ方法もあります。先に紹介した MEN’S EX の記事でも、平紐のほうがほどけにくかったとされています。
紐が長すぎて余るときの処理は、長い靴紐の結び方で紹介しています。
よくある失敗・注意点
革靴の紐で、ありがちな失敗をまとめました。
- 新品で届いたときの紐の状態のまま履き、紐がゆがんで見える
- 蝶結びが縦向きになり、すぐにほどける
- 左右の紐の長さがずれたまま結び、片方の輪が大きくなる
- 紐を結んだまま脱ぎ履きして、靴を傷める
- 結び目を内側に隠したら、足の甲に当たって痛くなる
- 締めすぎて、甲が圧迫される
紐を強く締めすぎると、足の甲が圧迫されて痛むことがあります。甲やかかとが痛むときの靴の見直し方は、革靴でかかと・甲が痛いときで紹介しています。見せる通し方を楽しみたい方は、おしゃれな靴紐の結び方も参考になります。
よくある質問
革靴の紐は、シングルとパラレルのどちらがいいですか?
見た目のすっきりさを重視するならシングル、ゆるみにくさを重視するならパラレルが向いています。迷ったら、どんな靴にもなじみやすいパラレルから試すのがおすすめです。
お葬式のときは、紐の結び目を隠したほうがいいですか?
結び目を隠すよう求めるマナーは、編集部が確認した範囲では見当たりませんでした。気になる場合は、横向きの蝶結びをきちんと整えておくと、足もとが落ち着いて見えます。
革靴の紐は、脱ぐたびにほどいたほうがいいですか?
紐を結んだまま脱ぎ履きすると、靴が傷みやすいと言われています。脱ぐときは紐をゆるめ、履くときに締め直すのがおすすめです。
紐が長くて余るときは、どうすればいいですか?
通し方を変えると、余る長さが変わることがあります。それでも余るときは、靴に合った長さの紐に替える方法もあります。
まとめ
革靴の紐は、シングルかパラレルで通し、蝶結びを横向きに整えるのが基本です。見た目を重視するならシングル、ゆるみにくさを重視するならパラレルが向いています。結び目を隠したいときは、内側で結ぶ方法がありますが、脱ぎ履きのしやすさとのバランスも考えておきたいところです。冠婚葬祭や就活では、紐を靴と同じ色にそろえ、きちんと締めて整えておくと安心です。