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靴のサイズ

靴がきついときに伸ばす方法|素材別の可否とストレッチャーの使い方

公開日 文・足もとマガジン編集部

木製のシューキーパーを入れた茶色の革のプレーントゥシューズ

結論から言うと、きつい靴は、天然皮革なら幅や甲をシューストレッチャーで少しずつ伸ばせることがあります。一方で、合成皮革やメッシュの靴、靴の長さ(つま先方向)は伸ばしにくいとされています。この記事では、買った靴の幅や甲がきつくて困っている方に向けて、伸ばせる場所と素材の見分け方を整理します。あわせて、ストレッチャーの使い方、靴修理店に頼む方法、ドライヤーなど避けたい方法も紹介します。

結論

まずはきついのが幅・甲なのか、長さなのかと、靴の素材を確かめます。天然皮革の幅や甲なら、ストレッチャーで少しずつ伸ばすか、靴修理店に相談する方法があります。濡らした革に熱を当てる方法は避けたいところです。

まず確かめたい:伸ばせる場所・伸ばせない場所

靴を伸ばすといっても、どこでも同じように伸ばせるわけではありません。きつい場所によって、伸ばせるかどうかが変わります。

きつい場所 伸ばせるか 理由・補足
幅(指の付け根まわり) 伸ばしやすい 甲革(靴の上側の革)を横に広げる
甲 伸ばしやすい 甲を持ち上げるタイプの道具もある
一部だけ当たる 伸ばしやすい 当たる所だけをポイントで伸ばす
長さ(つま先方向) 伸ばしにくい 靴底は伸びない

幅と甲は伸ばしやすい

靴メーカーのパラシューの解説では、きつい靴は甲革を伸ばして余裕を作るのが一般的とされています。甲革を伸ばすと横幅にゆとりが生まれ、足入れがよくなるそうです。小指や親指の付け根が当たる、甲が締めつけられるといった悩みは、伸ばして調整できる場合があります。

長さ(つま先方向)は伸ばしにくい

同じ解説では、靴底(ソール)の素材は伸びないため、縦方向は伸ばしにくいとされています。ストレッチャーで長さ方向に張れるのは甲革だけで、靴底の長さ、つまり靴のサイズそのものは変わりません。つま先が靴の先に当たるほど長さが足りない場合は、伸ばすよりも買い直しを考えたほうが近道かもしれません。どんなときに買い直しを考えるかは、この記事の後半「伸ばすより買い直したほうがよい目安」でまとめています。

素材別:伸ばせる靴・伸ばしにくい靴

伸ばせるかどうかは、靴の素材でも大きく変わります。靴の中のタグや、購入時の商品説明で素材を確かめておきましょう。

素材 伸ばしやすさ 資料にある目安・注意
天然皮革(表面がなめらかなスムースレザー) 伸ばしやすい 革小物・靴ブランドのsotのコラムでは、ストレッチャーで伸ばす期間は約3日が目安
スエード・ヌバック(起毛した革) 伸ばしやすい 同コラムでは約1日が目安
エナメル 時間がかかる 同コラムでは約5日が目安
合成皮革 伸びにくい パラシューの解説では「多少は伸びる」、sotのコラムでは「あまり伸びない」
キャンバス(布) 履くうちになじむことがある スニーカーケア用品ブランドのkickswrapの解説では「履き込むことで多少伸びる」
メッシュ ほぼ伸びない 同解説より
ゴム系の素材(長靴など) 革と同じには扱えない 婦人靴メーカーのレディースキッドの解説では、素材ごとに伸び方や熱への強さ、加工できるかが違うとされる。自分で伸ばす前に購入店やメーカーに相談

期間はあくまで資料にある目安で、革の厚さや仕上げによって変わります。天然皮革とスエードは伸ばしやすい一方、合成皮革やメッシュのスニーカーは、伸ばす以外の方法を先に考えたほうがよさそうです。

伸ばす前に試したいこと

伸ばすと、靴は元に戻せません(詳しくは後述)。まずは、靴を傷めずにできる調整から試すのがおすすめです。

紐をゆるめる・通し方を変える

紐靴なら、甲のあたりの紐をゆるめに結ぶだけで、締めつけを感じにくくなることがあります。kickswrapの解説では、きつい場所の穴を1つ飛ばして紐を通す方法や、伸び縮みする素材の紐に替える方法も紹介されています。紐の通し方の基本は、靴紐の通し方で詳しく紹介しています。

インソールを薄いものに替える

取り外せるインソールなら、薄いものに替えると靴の中にゆとりが生まれます。同じくkickswrapの解説では、厚みのある付属のインソールを薄手のものに替えて、横幅の余裕を作る方法が紹介されています。

靴下を薄いものにする

厚手の靴下を履いていると、そのぶん靴の中は狭くなります。試着のときより厚い靴下を履いていないか、確かめてみてください。

シューストレッチャーで伸ばす

シューストレッチャーは、靴の中に入れて内側から広げる道具です。天然皮革の靴の幅や甲を、自分で少しずつ伸ばせます。

ストレッチャーの種類

種類 伸ばせる場所 向いている悩み
幅を広げるタイプ(長さ方向の調整つきもある) 幅(指の付け根まわり)の甲革 足の横全体がきつい
甲を持ち上げるタイプ 甲 甲が締めつけられる
ポイントストレッチャー(はさむ道具) 当たる1か所 小指や親指の付け根など、一部だけ当たる

たとえば、靴のお手入れ用品メーカーのコロンブスの「ダブルシューストレッチャー」は、甲側とかかと側に分かれた木型を靴に入れて使います。ハンドルで横幅を広げ、調整ねじでかかと側の木型の位置を動かして長さ方向にも張るつくりです(2012年4月25日の同社の発表より)。ただし、長さ方向に張れるのは甲革で、靴底は伸びません。付属のチップを木型の穴に差し込むと、当たりやすい場所だけを集中して伸ばせるとされています。

一部だけが当たる場合は、ポイントストレッチャーで当たる場所だけを伸ばす方法もあります。パラシューの解説では、当たって痛い場所だけをピンポイントで伸ばせる道具として紹介されています。レディースキッドの解説でも、靴全体ではなく、きつい箇所だけを素材に合った方法で伸ばすのは「ある程度有効」とされています。ただし、万能の方法ではないとも書かれています。

ストレッチャーの使い方

ここでは、幅を広げるタイプの使い方を紹介します。製品ごとに使い方は違うため、手順は取扱説明書を優先してください。

  1. 伸ばしたい場所を確かめる

    靴を履いて、どこがきついかを確かめます。指で押さえて場所を覚えておくと、チップを当てる位置を決めやすくなります。

  2. 必要に応じて、伸ばすスプレーを内側に吹きかける

    革を伸びやすくするスプレーやミストを、伸ばしたい部分の内側に吹きかけます。コロンブスの案内では、よく振ってから内側に2〜3回吹きかけるよう書かれています。色落ちする革もあるため、目立たない場所で先に試します。

  3. ストレッチャーを靴に入れ、少しだけ広げる

    つま先側の木型を奥まで入れ、かかと側の位置を合わせます。ハンドルは、靴が少し張るくらいまでにとどめます。コロンブスの案内でも、ハンドルを回しすぎると靴が傷み、道具の故障にもつながるとされています。

  4. そのまま時間をおく

    コロンブスの案内では、少なくとも24時間はそのまま置くとされています。パラシューの解説では1日〜1週間とされ、素材によっても違います。

  5. 外して履いてみる

    ストレッチャーを外し、履いて確かめます。まだきつい場合は、少しだけ広げてもう一度置きます。

伸ばしすぎないための目安

sotのコラムでは、ストレッチャーで広げるのは約0.5cmが目安とされています。1cm以上広げると、靴に負担がかかるそうです。また、一度広げると元に戻せないとも書かれています。飾りのついた靴は、伸ばすと飾りを傷めるおそれがあるため、注意が必要だそうです。

伸ばすスプレーや履き慣らしを組み合わせる

ストレッチャーと組み合わせて使われるのが、革を伸びやすくするスプレーです。コロンブスの「レザーストレッチャースプレー」は、配合した成分が革に浸透し、保湿してやわらかくするとされています。同社は、ストレッチャーと一緒に使うと、スプレーの働きがより発揮されると案内しています。

天然皮革の靴は、履いているうちに足の形へなじんでいくこともあります。sotのコラムでは、近所から少しずつ歩く距離を延ばし、革をやわらかくしていく方法が紹介されています。ただ、痛むほどきつい靴を無理に履いて慣らすのはおすすめしません。革靴を慣らすときの考え方は、革靴でかかと・足の甲が痛いときの原因と対処で詳しく紹介しています。

靴修理店に頼む

自分で伸ばすのが不安な靴や、大切な靴は、靴修理店に相談する方法があります。パラシューの解説では、街の靴修理店は靴を伸ばす機械を持っていることが多く、専用の道具で伸ばしてもらえるとされています。

修理店に頼むときは、次のことを伝えるとスムーズです。

  • きつい場所(幅・甲・小指の付け根など)
  • 靴の素材(わかる範囲で)
  • どのくらいゆるめたいか

料金や対応できる素材は、店舗によって違います。持ち込む前に、伸ばしを受け付けているかを問い合わせておくと安心です。

やってはいけない方法・注意点

ネットでは、靴を早く伸ばすための方法がいろいろ紹介されています。中には、靴を傷めるおそれのある方法もあります。

濡らした革に熱を当てる(ドライヤー・ストーブ)

革をやわらかくしようと、靴を濡らしてドライヤーやストーブで温める方法は避けたいところです。東京都立皮革技術センターの会報『かわとはきもの』には、日本皮革技術協会(NPO法人)の連載「クレーム事例から学ぶ革の特性」が載っています。その13回目(202号)では、濡れた革靴をストーブの前で急いで乾かし、甲革の先が硬く縮んで履けなくなった事例が紹介されています。同じ解説によると、革は水に濡れると熱に弱くなります。そのため、濡らした革製品にアイロンやストーブ、ドライヤーで熱を加えてはいけないとされています。一見乾いたように見えても、革の中に水分が残っていることがあるとも書かれています。

乾いた状態でドライヤーを当てる方法も紹介されていますが、熱を当てすぎると革を傷めるおそれがあります。同じ会報に載った、皮革の業界団体による解説「皮革の特性」(151号)では、乾いた革でも高い温度でアイロンをかけるのは避けるべきとされています。また、熱で一度変性した革は硬くもろくなり、元には戻らないとも書かれています。大切な靴は、靴修理店に相談するのが安心です。

靴に水を入れて凍らせる

袋に入れた水を靴の中で凍らせ、氷がふくらむ力で広げる方法も見かけます。この方法は、袋が破れると靴の中が水で濡れてしまいます。先ほどの「皮革の特性」の解説では、水に濡らした革は、風合いや光沢などの見た目も大きく変わるおそれがあるとされています。この記事では、ストレッチャーや靴修理店を使う方法をおすすめします。

一度に大きく伸ばす

早く伸ばしたいからとストレッチャーを一気に広げると、靴に負担がかかります。先ほどのとおり、sotのコラムでは約0.5cmが目安とされています。縫い目や飾りがある靴は、特に少しずつ進めたいところです。

痛いのを我慢して履き続ける

きつい靴を我慢して履き続けると、靴ずれやまめの原因になることがあります。痛みが出たら、その日は履き替えることも考えておきましょう。

伸ばすより買い直したほうがよい目安

次のような場合は、伸ばすよりも、足に合う靴を選び直すほうが早いこともあります。

  • つま先が靴の先に当たり、長さが足りない
  • 合成皮革やメッシュの靴で、幅全体がきつい
  • 紐をいちばんゆるめても、甲全体が締めつけられる
  • 少しずつ伸ばしても、まだ痛みが出る

靴のサイズは、足の長さ(足長)だけでなく、足の周り(足囲)でも選びます。足の測り方とワイズ(足囲の目安)の見方は、靴サイズの選び方でまとめています。パンプスで小指や親指の付け根が当たる方は、靴ずれしにくいパンプスの選び方も参考になります。

よくある質問

スニーカーは伸ばせますか?

素材によります。レザーやキャンバスは履くうちになじむことがありますが、合成皮革やメッシュはほとんど伸びないとされています。まずは紐をゆるめる、インソールを薄いものに替えるといった方法から試すのがおすすめです。

靴はどのくらい伸ばせますか?

素材や靴のつくりによって違います。メーカーのコラムでは、ストレッチャーで広げるのは約0.5cmが目安で、1cm以上は靴に負担がかかるとされています。少しずつ広げて、そのつど履いて確かめるのがおすすめです。

伸ばしすぎた靴は元に戻せますか?

一度広げた靴は元に戻せないとされています。ゆるくなった場合は、インソールやパッドで靴の中のすき間を埋める方法があります。

靴の長さ(サイズ)を大きくすることはできますか?

靴底は伸びないため、長さ方向は伸ばしにくいとされています。つま先が当たる場合は、足に合うサイズの靴を選び直すことも考えてみてください。

まとめ

きつい靴は、天然皮革の幅や甲なら、シューストレッチャーで少しずつ伸ばせることがあります。合成皮革やメッシュの靴、靴の長さは伸ばしにくいとされています。まずは紐やインソール、靴下で調整し、それでもきつければストレッチャーや靴修理店を考えるのがおすすめです。濡らした革にドライヤーやストーブの熱を当てる方法は、革が縮んで硬くなるおそれがあるため避けたいところです。

伸ばしてもきつい場合は、靴サイズの選び方を参考に、足に合う靴を選び直してみてください。反対に、靴が大きくてかかとが浮く方は、靴のサイズが大きいときの対処法で調整の方法を紹介しています。